my mother is missing, and my father’s a basket case, and I don’t know what to think.
『ギルモア・ガールズ』で、電話するローレライ
Gilmore Girls [Credit: The WB]

「Basket Case」の意味とは?

basket case」なるスラングを最近立て続けに耳にして、その謎さから調べてみることにしました。人を形容してるんですけど、「バスケット」からは全く何も思いつかないんですよ(笑) そこで調べると、Wiktionaryにしっかりと載ってますね:

basket case

(slang, potentially offensive) One made powerless or ineffective, as by nerves, panic, stress or exhaustion.

(スラング、侮辱的な可能性)神経質、うろたえ、ストレス、疲労などにより無力や無能になった人

ということで、basket caseな人は緊急時にオロオロしちゃって何もできない人のことですね。実際、上掲した『ギルモア・ガールズ』でも、ローレライの父親は妻に家を出ていかれてオロオロするばかりなんです(笑)

なお、Urban Dictionaryには学校の文脈での「basket case」の意味が載っていました:

Basketcase

Sometimes percieved as an insult, usually a stereotype or label.

時々侮辱として、通常はステレオタイプラベル付けとして受け取られる

A basketcase is common word used to describe a social outcast in school. Some characteristics of a basketcase included emotional instability, weirdness, and constant isolation from mainstream society. A basketcase is often independent and isolationist, in other words, anti-social.

「basketcase」は学校社会でののけ者を表すのに使われる。「basketcase」の特徴としては、情緒不安定、変わり者、主流からの絶え間ない孤立が挙げられる。「basketcase」はしばしば独立して孤立主義者だ、言い換えれば、非社交的。

This word was widely used in the 80s. Like most slang prior to the 90s, it has fallen into disuse. Today, a basketcase can be categorized in three groups known as the goth, emo, and punk.

この単語は80年代に広く使われた。90年代以前の多くのスラングのように使われなくなっている。今日「basketcase」はゴス、エモ、パンクのカテゴリに入る。

というように、学校ではアメフトやチアリーダーではなく、非主流派の生徒を表すのに使われていたんですね。emoからウジウジしてる感じが伝わってきます。

「Basket Case」の語源とは?

それでは最大の謎、何故「バスケット」か?ですが、上記Wiktionaryに載っていますね:

basket case

Etymology(語源)

The term originated in America after the First World War, indicating a soldier missing both his arms and legs who needed to be literally carried around in a litter or “basket”, though there are no records of any soldiers being carried in baskets. Today it indicates a state of helplessness similar to the metaphoric removal of the appendages, most frequently in the context of mental health or aptitude.

この用語は第一次世界大戦後のアメリカで考案された、両手両足を失った兵士が文字通り担架やバスケット(かご)で運ばれる必要があることを指して、バスケットで運ばれた兵士が存在した記録は無いのだが。今日では、この用語は比喩的に四肢の切断と似たように無力な状態を表す、非常によくあるのが精神衛生や才能の文脈で。

簡単に言えば、戦争で四肢を失った兵士がカゴ(バスケット)に載せられ運ばれる無力な様を「basket case」で表したのが最初。確かに、手足を失ったら無力なのは分かりますが、結構酷い語源ですね・・・。

なお、ちょっと考えると「バスケット」も「ケース」も「箱」を意味するのでこのスラングは類語反復的に聞こえますが、実はこのcaseはnutcaseやheadcaseのように「人」を意味してるみたいです。

海外ドラマでの「Basket Case」

上で分かったように、このスラングは80年代にメインに使われたということで、昨今の海外ドラマではあまり見かけませんが、一応見かけたのを拾ってみましょう。

デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~

ジュディー: I never knew my dad and I was a basket case.
『デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~』で、ジュディーとジェン
Dead to Me [Credit: Netflix]

『デッド・トゥ・ミー』ではジュディーとジェンが父親の思い出ばなし。ジュディーは父親を知らないと言ってからbasket caseだったと幼少期を述懐。無力感もそうですが、emo入ってメソメソしてたのかもしれません。

HOMELAND

捜査官: Well, she seems fine.
キャリー: She is. I’m the one that’s a basket case.
『HOMELAND』で、キャリーは子供を届ける
Homeland [Credit: Showtime]

長期間参考人の子供を保護していたキャリーは親に子供を渡す瞬間が来ます。子供の嬉しそうな様子とは裏腹に「私のほうがバスケット・ケースだ」とはキャリー。明日から子供がいなくなる生活を考えると無力感が出てくるのです。

最後に

今回は語源が面白かったスラング「basket case」の紹介でした。本当にバスケットに入れられて運ばれた四肢を失った兵士が居たかは定かではありませんが、そのビジュアル的なイメージは強烈ですね。案外、そういったところからこのスラングが広まっていったのかもしれません。それでは〜