スラング「Grill(グリル)」の意味と黒人との関係
広告
ウォルター: His grill?
「Grill」の意味とは?
海外ドラマ『ブレイキング・バッド』が好きな人なら、捜査官ハンクが殺したトゥコの歯の装飾をこれみよがしに自慢してたのを覚えているかもしれませんね。透明な物質で固めて持ち歩く始末です(笑) これは彼の恐怖心の裏返しであることがこの後分かるのですが・・・。
いずれにしても、この歯の装飾のことを彼は「grill」と呼んでるんです。「グリル」は日本語でも料理で直火で焼くの意味。そして英語に詳しい人ならgrillに「厳しく尋問するの意味」があるのを知っているかもしれませんが、grillに更に全く別の意味があるなんて面白いですね:
grill
- (口語的)前歯に装着する宝石。
- (口語的、意味を拡張して)前歯全体。
- (colloquial) A type of jewelry worn on the front teeth.
- (colloquial, by extension) The front teeth regarded collectively.
このグリル、日本のアマゾンでも売ってるみたいです(笑)
grill(グリル)するのは黒人男性?
なお、このgrillを英辞郎で引くと興味深いことが書いてあります。使うのが主に黒人男性と具体的な人種にまで踏み込んでいるのです:
grill
〈俗〉グリル [補]主に黒人男性が歯に施す金属の装飾
でも、上で例に出した『ブレイキング・バッド』のトゥコはメキシカンで黒人ではないですね。
それと、この歯のグリルの装飾でいつも思い出すのが『クレイジー・エックス・ガールフレンド』のジョシュの母親が歌う『I Give Good Parent』の曲。
この母もフィリピン人の設定(役者本人は日系)なので、person of colorというだけで、黒人ではありません。
「grill(グリル)=黒人男性」の調査
そこで気になって英辞郎のこの補足の真偽を調べてみることにします。
まず、Wikipediaによると
Grill (jewelry)
2006年現在、グリルは18歳から35歳のアフリカ系アメリカ人男性のヒップホップの聞き手によって装着される。
As of 2006, grills were most often worn by 18- to 35-year-old African-American male hip-hop listeners.
とありました。主な使用者が黒人男性というのはあってそうですね。
更には『Key & Peele』のスキットでも、この「グリル=黒人」の等式を使った差別ネタがありました(笑)
homieからgrillで、グリーンファルコンが黒人であることをあからさまにする白人のブルーファルコンですw ここの「get up in your grill」は「対立、喧嘩を吹っかける」を意味するスラング「get up in someone’s face」をグリルにモジッて言ってます。
実際のクリップ全体は下記から(面白いのでぜひ多くの人に見て欲しい、そして最後のオチがなんなのか考えて欲しい):
ということで、結論としては、英辞郎の記述は正しいですね。ただし、黒人と紐づくってことは、ブルーファルコンのように人種差別的に響かせることもできるので注意が必要です。
『ブレイキング・バッド』のグリル回
ついでなので、冒頭に出した『ブレイキング・バッド』のグリル回についても触れておきます。ハンクがギャングボスのトゥコを殺す回はシーズン2エピソード2で、実はこのエピソード名はその名も「Grilled」なんです。
もちろん、これはトゥコの嵌めている装飾の「grill(グリル)」の意味も込められていますが、サラマンカのちんちんおじさんの家で肉をグリルする料理好きトゥコでもあるんです。
更には、ウォルターとジェシーを捕まえて「尋問する(grill)」トゥコって意味でもあるんです。
なんと、3つの意味を込めて「Grilled」って題名になっているんですね。
最後に
今回は主に黒人男性が嵌める「grill(グリル)」の意味について見てみました。
『Key & Peele』のスキットにあったように、特定の人種に特有の言葉は、それを逆手に取って差別的にも響かせられることもあるんですね。この辺は、国内から出てない日本人は考えが甘くなるので注意が必要でしょうか。こう言った文化や差別が手軽に学べるのが海外ドラマの利点でもありますね。それでは〜
広告