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仲が良い男女への子供のからかい

カップルが木にお互いの名前を彫るお約束

映画や海外ドラマでお馴染みですが、海外ではカップルが自分たちの愛の永続性のシンボルとして、木にハートを彫って、その中に自分たちのイニシャルを掘ることがありますよね。以下の画像が典型的な例。

白樺の木の上にハートと名前のイニシャルを掘るカップル
Image by Wildschuetz from Pixabay

個人的に、「+」記号を使っているのが少し違和感ですけど、くっつくって意味合いなのは分かりますね。

下記画像も同様のパターン。

木の上にハートと名前のイニシャルを掘るお約束
Image by Pexels from Pixabay

テレビのお約束集には「Sweetie Graffiti(恋人の落書き)」とライムして紹介されていますね:

Sweetie Graffiti

このお約束の最も共通の形は、幼少時の恋人達が自分たちの名前のイニシャルをハートで囲って木に刻むこと。

The most common form of this is childhood sweethearts carving their initials into a tree with a heart around them

Wikipediaには、この風習がかなり昔から行われてきたことが示されています:

Love carvings

木に名前やイニシャルを刻むことは恋人たちの間でよくある慣例だ。その刻印は何十年も存続し、彼らカップルの愛の永遠の象徴となるのだ。この慣習は古代ギリシア・ローマ時代まで遡るだろう、実際カリマコスは『アイティア』でこれを記述している。

Carving names and initials into trees is a common practise among lovers; the carvings can last for decades, as a symbol of the permanence of the couple’s love. This practise would appear to date back up to the Classical era, with Callimachus writing in his Aetia

ということで、古代ギリシアまで遡れるそうです(笑)

『大草原の小さな家』では願望を込めて木に刻むパターン

ところで、『大草原の小さな家』では、まだカップルではないですが、カップルになりたいという願望を込めてイニシャルを刻むパターンがありました。

転校生ジョニー・ジョンソンは主人公一家インガルス姉妹と仲良くなります。妹のローラがジョニーは自分に惚れていると思っていると、彼から見せつけられるのが以下の木の刻印なんですね。そこには自分のイニシャルはなく、姉メアリーの名前があるのです・・・。典型的三角関係エピソード。なお、Johnny Johnson+Mary Ingallsとフルネームにすると刻む枠がないので、イニシャルになるのが分かりますね(笑)

『大草原の小さな家』で、ジョニー・ジョンソンとメアリーの相合い傘
Little House on the Prairie [Credit: NBC]

『ウォーリー』でも願望を込めてレーザーで焼くパターン

同様の一目惚れからの願望パターンは、映画『ウォーリー』でも見られますね。ここで、WALL・Eは人間のマネをしているだけなんですけど・・・。

『ウォーリー』で、WALL・EはEVEの名前をレーザーで書く
WALL-E [Credit: Walt Disney Studios Motion Pictures]

日本ではハートでなく相合い傘

なお、このお約束の日本版はもちろん相合傘(アイアイ傘、愛愛傘とも)ですね。まず傘を書いて、その下にカップルの名前を縦書きします。ハートの中に収める必要がある西洋のものとは違い、下にいくらでも行けるのが日本版傘の強みかもしれません(笑)

こちらも調査してみると、西洋の古代ギリシアには及びませんが、一応数百年の歴史はあるようです(詳細は不明。詳しくは専門家の手に委ねます)

なんと北斎漫画に出てきてるのが分かりました:

北斎漫画十二編で、便所の壁の相合い傘
北斎漫画十二編

トイレの絵ですが、壁に相合い傘が書かれているのが分かります(笑)

TV Tropesでの「相合い傘」の奇妙な説明

この相合い傘のお約束ですが、日本のアニメ漫画等コンテンツで頻繁に登場するためか、TV Tropesでも取り上げられていますね。しかし、その内容が個人的に??なんです:

Umbrella of Togetherness

(西洋の)アリスとボブの名前とハートに矢の落書きの日本版は傘の下に両者の名前を書くことだ。これは神前式結婚に由来する。そこでは、新郎新婦は赤い傘の下で儀式を行う。

The Japanese equivalent of the “Alice [arrow through heart] Bob” love graffiti is drawing the pair’s names standing under an umbrella. This one is rooted in Shinto weddings, where newlyweds are officiated under a red umbrella

ということで、海外では相合い傘が神前式結婚から来てるとされてしまっているのですが、これ本当でしょうか? ざっくり調べてみてもそこまで断定している日本語記事はないようでした。傘の下の空間を特別視したという言及は幾つかあり。こちらも専門家待ちですね。

神前式結婚で新郎新婦は赤い傘の下
Image by Pexels from Pixabay

最後に

今回はカップル達が木に自分たちのイニシャルを刻むお約束を紹介してみました。そこには、あの一目惚れの人と一緒になりたいという気持ちがこもっていることもあるのですね。

なお、このお約束の日本版は「相合い傘」ですが、江戸時代には存在していたのは確かのようです。北斎漫画に出てきてましたので。

文化は変われど、カップルの名前を刻むという愛に対する衝動が同じなのは面白い現象ですね。もしかしたら、文字が発明されるもっと前からあったのかもしれません。それでは〜


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