ミゲル: She’s raising not one, not two, but three eight-year-olds
『THIS IS US 36歳、これから』で、ジャックとミゲルは酒場で飲む
This Is Us [Credit: NBC]

聞き手に興味をもたせるスピーキング技術

今日一日何をしたか子供に聞いたとして、「朝起きた。公園行った。友達と遊んだ。帰ってきた。」と答えたとして下さい。これは非常にまずい文章なんですね。形容詞がないとか、感想がないとか色々あるんですけど、一言で言えば、ものすごくツマラナイのです(笑)

文法的には問題なく意味は分かるのですが、ストーリーテリングとしては最悪の部類なんですよね。

そして、日本人が英語でアウトプットする時、これと全く同様の現象が起こるのです。文法間違いには細心の注意を払うのに、内容の面白さが途端に欠落するのです。

これは、英語の試験が原因の一端でもあるのでしょうけど、なんとかならないもんでしょうか? 文法がたとえ間違っていても、うまいダジャレがあったら高得点で良い気がするんですけどね。綴りが間違ってても、引き込まれる内容なら点数あげればいいじゃないですか。このブログでも昔から言ってますが、アウトプットに関してはみんな中二病になるべきなんですよ!

いずれにしても、この話は英語とか特定の言語に囚われず、ありとあらゆる言語で共通の話題ですね。如何にしてリスナーの興味を掴むストーリーテリングができるかという。

英語で「Not One, Not Two, But…」という言い回し

そんなストーリーテリングで重要なテクの一つに焦らしがあります。結論をいきなり言うのではなく、リスナーを少し焦らしてストーリーに引き込むのです。

今回紹介する「not one, not two, but…」はまさにそんな焦らしテクニック。冒頭に掲げた『THIS IS US 36歳、これから』の場面では、ミゲルは「彼女は一人でもなく、二人でもなく、三人もの子供を育てているんだ!」と言ってます。結論だけ知りたい人なら最初から「三人育ててる」と言えと思うかもしれませんが、これがストーリーテリングの技法なんですね。こうやって焦らすことで「3」という数字に重みを与えています。

このように、別に難しい構文や語彙を使わなくても、話というのはドラマチックにできるものなのです。そして、そういうことも英語と一緒に学ぶべきだと私は思うのですよ。

海外ドラマでの「Not One, Not Two, But…」

以下、このパターンが出てくる海外ドラマをピックアップしてみましょう。

THIS IS US 36歳、これから

ジャック: I’m gonna snag us not one, not two, but five pool chairs.
レベッカ: Five?
『THIS IS US 36歳、これから』で、ジャックとレベッカ
This Is Us [Credit: NBC]

『THIS IS US 36歳、これから』の別のシーン。子供を連れプールに行く準備のジャックとレベッカ夫妻。ジャックは家族のために5つの椅子を手に入れると誓います。ここも「not one, not two」が入ることでストーリーにアクセントが付いてます。ちなみに、5なのは5人家族だからですね。

ママと恋に落ちるまで

女性: Today at work I had not one, not two, but three birthday cakes.
『ママと恋に落ちるまで』で、テッドは女性とデート
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

『ママと恋に落ちるまで』では、テッドのデート相手(今日が誕生日)がこのパターンを使っています。実際の場面を聞いてもらえれば「not one,… not two,…」と溜めを入れつつ述べているのが分かります。

名探偵モンク

弁護士: Mr. Monk, I’m sure you’re aware that in this court we’ve had not one, not two, but three art experts.
『名探偵モンク』で、参考人として裁判に出廷するモンク
Monk [Credit: USA Network]

裁判で参考人として出廷するモンクに尋問する敵方弁護士。この法廷には「一人でもなく、二人でもなく、三人の美術専門家がいる(そして、モンクの意見と全員対立してる)」とします。これなんか、裁判なんですから事実の羅列で良いはずなのに、わざわざ「not one, not two, but」で劇的にする弁護士。結局、裁判官、陪審員に深い印象を与えるためのレトリックなんですね。

最後に

今回はストーリーテリングで出てくる「not one, not two, but…」という言い回しを紹介しました。なかなか面白い言い方じゃない?

気に入った方はぜひ英語学習のアウトプット時に使ってみて下さい。ツマラナイ文章が一変するかもしれません?!

なお、こういった言い回しは海外ドラマでよく出てきます。というのも、基本内容が会話で構成されていますし、ツマラナイ言い回しは視聴者をも飽きさせてしまうため脚本家が意図しない限り出てこないんですね。

そういった意味でも、海外ドラマを使った英語学習がおすすめなんです。興味ある人は、以下のリンクを読んでみて下さい。それでは〜


私が見た海外ドラマのエピソード数は、not one, not two, but 12,000以上↓