生徒: Good morning, Mr. xxx.

先生: How are you this morning?

生徒: Fine thank you, and you?

中学校での英語授業の開始の挨拶

『グリース』に「How are you?」「Fine. Thanks.」

先日、映画『グリース』を見ていたら面白いシーンが。夏休み中に恋仲となった不良ダニーと真面目な少女サンディは、夏休みの終わりとともに離れ離れとなったと信じていましたが、サンディの転校先がダニーの高校だったことから、そして、面子を保つためダニーが不良仲間の前でサンディに冷たくするものですから、二人の仲に亀裂が入ります。

次の場面はそんな二人の間の亀裂を修復しようとダニーがサンディに声をかける場面。そこで、日本人が英語を最初に習う時の挨拶が出てくるんですよ、「How are you?」「Fine. Thanks.」って(笑)

ダニー: How are you?
サンディ: Fine. Thanks.
映画『グリース』で、ダニーとサンディの挨拶
Grease [Credit: Paramount Pictures]

多分、英語授業では単なるFineでなくI’m fine、ThanksでなくThank youでしょうが、まあほとんど同じですね。

そして、このシーンが非常に面白いのは、オリビア・ニュートン・ジョン扮するサンディはダニーに背を向けて、興味なさそうにとりあえず返事する的に「Fine. Thanks.」なんです。形式的なんですね。全然楽しくない素振りなんです。

でも、それはこの文脈を考えればそうですよね。夏休みに親しくなったダニーと一緒の高校で再会して嬉しいのに、ダニーは休み中とは一変した冷たい対応(cold shoulder)なんですから。当然サンディも彼に対し冷たくなるんです。

ちなみに、サンディはダニーに再会した当初は、その豹変ぶりに「What’s wrong with you?」とまで言う始末でした。

日本の英語教育での「How are you?」「I’m Fine, Thank you.」

さて、私は英語は中学から習い始めたのですが、授業の最初に毎回

生徒: Good morning, Mr. 先生の名.

先生: How are you this morning?

生徒: Fine, thank you. And you?

的な挨拶を強いられてた記憶があります。ちなみに、この「(I’m) Fine, thank you.」は辞書にも載ってる由緒ある返答ですね:

I'm fine, thank you

「how are you?」に対する予期される丁寧な返事。

The expected, polite response to how are you?

ただ、残念ながら、この英語授業冒頭の儀式的な作られた挨拶は、かなり形骸化していたと思います。だれも元気には言わずに下向いてボソボソと。そう、我々生徒はいつの間にか『グリース』のサンディになってしまっていたのですね。全く意味のない儀式が何年間もと続けられていたのです。そして、そんな英語授業から多くのサンディが排出されていった(今も?)実態があるのですね(笑)

皆さんがサンディにならないために

そこで、そんなサンディにならない方法を、以下いくつか考えてみました。

「I’m fine, thank you」は使われない

まず重要なのは、「I’m fine, thank you」は上で紹介した辞書には「how are you?への予期される丁寧な返事」とあるのですが、実はこれ誰も使ってないんですね。予期されていないのです(笑) 少なくても、今回海外ドラマの英語字幕を検索した中では、ほとんど出てこない。

というのも「How are you?」へはそれこそ千差万別の返事があるんですよ:

ラジ: Hello, Mommy, Daddy. How are you?
ラジ母: Pretty good, can’t complain.
『ビッグバン★セオリー』で、ラジの父親と母親
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

だから、皆さんへのお願いは形式的に同じ返事にしないで欲しいってこと。

こういうと、どんな返事を使えばいいのかって聞かれるのですけど、実は海外ドラマに実例が何万とあるんですよね。そういったものを真似るところからスタートしたらどうかなと思うんです。

元気さがなければ意味がない

次に、それを発する際の口調・態度・表情だって非常に重要なんです。

映画の中でサンディは背中を見せて、無表情で、モノトーンで「Fine. Thanks.」とぼそっと言うんですけど、いくら「How are you」への素敵な返答を見つけたとしても、それじゃ駄目なんです。学校の授業の開始時は形骸化してお経を読むかのごとくなってしまったと思うんですけど、実社会ではそれはご法度なんですね。これは英語だけでなく、日本語でも同じだと思いますけど、どうでしょう? 脱サンディにはこれも必要です。

失敗しても全然OK

最後に、これは英語学習への一般的な内容になりますが、間違ったり失敗しても全く問題ないんです。というか、逆にヘマするべきなんです。恥じゃないんです。勇気を持って喋り出す事が一番重要。日本ではこれができない人が多すぎる問題があって、みんな最初から異常な完璧さを求めてしまうんですね。完璧にならないと重い腰を動かさないんです。

これを例えると、高尾山(東京にある有名なハイキング向けの山、599m)に登るのに、登山靴やバックパック、ブランドのウェア・ギアを揃えて、更に筋力トレーニング1年してから登るようなもんなんです。そこまでしなくても、今家にあるもので登っちゃえばいいのです。捻挫するかもしれないけど、死ぬことはないんですから。

日常会話で「I’m fine. Thanks」が使われる場面

なお、上で「How are you」への返答として「I’m fine. Thanks」はあまり出てこないと言いましたが、実は別のシチュエーションでは「I’m fine. Thanks」はよく登場するんですよね。

それが、「何かを勧められた際に断る」時。

A: コーヒー飲む?

B: I’m Fine. Thanks.

と言った具合。

これは状況を想像してもらえれば分かりますよね。I’m fineで「僕は(無くて)大丈夫だよ」と言ってから、Thanksで「尋ねてくれてありがとう」と言う具合。

次の『マーベラス・ミセス・メイゼル』では、車の乗車を勧められて断っていますね。

キャロル: You sure you don’t want a ride?
ミッジ: No, I’m-I’m fine. Thanks.
『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、ミッジとキャロル
The Marvelous Mrs. Maisel [Credit: Amazon Prime Video]

最後に

今回は映画『グリース』のサンディが「How are you?」に「Fine. Thanks.」と冷たい返事をしていたのが面白く、中学当時の記憶が蘇り、思わず記事にしてしまいました。

皆さんは是非ともサンディにはならないようにして下さいね。

そのためには、海外ドラマを英語字幕で頑張って見ましょう。これに「Fine. Thanks.」とは言わないで下さいね(笑)

それでは〜


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