「wing」は「翼」の意味ですが、実は動詞で2つの面白い意味を持つので、以下それを見てみたいと思います。

「Wing」の意味:翼、腕を傷つける

まず最初に、wingが持つ変な意味は「(鳥の)翼や(人の)腕を傷つける」。

wing

(transitive) To injure slightly (as with a gunshot), especially in the wing or arm.

(他動詞)少し傷つける(弾丸で、のように)、特に翼や腕を

箇所が翼や腕なのは納得ですが、問題はどこから「傷つける」が来たかです(笑)

これに関してはOnline Etymology Dictionaryに載っていました:

wing (v.)

Meaning “shoot a bird in the wing” is from 1802, with figurative extensions to wounds suffered in non-essential parts.

「鳥の羽を撃つ」の意味は1802年から、比喩的に重要でない部分を傷つけるの意味に拡張

ということで、鳥の翼を撃つところから。多分、狩りの時に、鳥の翼を撃って殺さずに捕まえるとかいうスラングがハンター間であったのでしょうね。そこから重要でない部分を傷つける意味が出たみたい。

海外ドラマでの傷つける「Wing」

Key & Peele

この意味での動詞「wing」の例は、以前「push someone’s button」で紹介した『Key & Peele』の寸劇にありました。

大佐に自分を撃てと迫る老傭兵。「Shoot me」から「Wing me in the shoulder」ですから、wingの意味を知らなくても大体の意味は推測できますね。

元傭兵: Shoot me.
大佐: I am not going to shoot you.
元傭兵: Wing me in the shoulder.
『Key & Peele』で、引退した傭兵
Key & Peele [Credit: Comedy Central]

ツイン・ピークス

もう一つの例は『ツイン・ピークス』から。肩を撃たれて「Fucking winged me!」。致命傷じゃないかもしれないけど、絶対痛いよね(笑)

Fucking winged me!
『ツイン・ピークス』
Twin Peaks [Credit: ABC]

「Wing」の意味:即興で演じる

お次の「wing」の意味は「即興で演じる」。台本じゃなく、その場のノリでやるんですね。

wing

(transitive) To act or speak extemporaneously; to improvise; to wing it.

(他動詞)即席で行動したり話す、即興で演じる

この即興時の「wing」は、上の説明にも出てるように「wing it」として使われることがほとんど:

wing it

(idiomatic) To improvise; to make things up or figure things out as one goes; to perform with little or no preparation.

(イディオム)即興でやる、やりながら作り上げる、考え付く、準備無しで演じる

こちらの「wing」も語源が気になりますね。一見「翼・羽」に関係ありませんから。これも、前述の語源辞典によれば3つの説:

wing (v.)

Verbal phrase wing it (1885) is said to be from a theatrical slang sense of an actor learning his lines in the wings before going onstage, or else not learning them at all and being fed by a prompter in the wings; but perhaps it is simply an image of a baby bird taking flight from the nest for the first time

「wing it」の動詞フレーズは劇場でのスラングから来てると言われている、役者がステージに上る前に舞台の袖(in the wings)でセリフを覚える様子から。あるいは、セリフを全く覚えられな役者が舞台の袖に置かれたプロンプター(セリフ表示装置)からセリフを受け取る様から。しかし多分、ひな鳥が初めて巣から飛び立つという単純なイメージからなのかも。

確かに、ひな鳥が最初飛び立つ時は手取り足取りは教えてもらえず即興なわけですから、個人的にはひな鳥説を推したいですね(笑)

巣にいる餌を求める2匹のひな鳥
Image by Franck Barske from Pixabay

海外ドラマでの即興の「Wing It」

ビッグバン★セオリー

『ビッグバン★セオリー』では、レナードとペニーの初デート。別れる際に次回のデート日程を決めようとするレナードに、ペニーは「we could just wing it」と、行きあたりばったりで行こうと提案します。つまり、前もって決めずにその場のノリで行こうってこと。体の良い断りにも思えますが・・・。

ペニー: we could just wing it.
レナード: That might work
『ビッグバン★セオリー』で、ペニーとレナードの初デート
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

ママと恋に落ちるまで

テッドはまだ壁紙も貼ってない空っぽの新居にやってきます。家具をどこに置くかは「wing it」とやりながら決める方針です。絶対前もって決めたほうがいいですけどね。海外ドラマだと、風水(feng shui)に従うのもよくあります。

テッド: I haven’t decided whether to put the fern on the right or the left side, but you know, sometimes you just gotta wing it.
『ママと恋に落ちるまで』で、テッドの新住居
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

最後に

今回は動詞「wing」の持つ面白い2つの意味を見てみました。「翼・腕を傷つける」と「wing it」の「即興で演じる」。

英語字幕上の出現頻度は大差で後者の「即興」が勝ち。というのも、海外ドラマの典型的な筋書きで、両親が急にやって来るから即興で友達に恋人を演じてもらうとかいうシチュエーションがよくあるからですね。その後、その二人はだいたいくっつくのですが(笑) このお約束はまた別の機会に取り上げましょう。

それでは〜


wingmanだと・・・?↓