「世界の七不思議」の一つ「ロドス島の巨像」に見覚えが

皆さん「世界の七不思議」(正確には「古代世界の七不思議」)と聞いたら何を思い浮かべるでしょうか?

もちろん、「ギザの大ピラミッド」ですよね。あんな巨大なものを昔の人が作ったんですから大したものです。

ギザの大ピラミッド
Photo by Jeremy Bishop on Unsplash

それでは、それ以外の6つはご存知でしょうか? こう聞くと、なかなか出てこないと思います。実は私もそうでした。まあ、残りは全て現存してないので、聞いたとしても全く印象に残らないんですけどね。

そこで、それ以外の6つの不思議について調べていたんです。Wikipediaによると・・・

古代世界の七不思議

  • ギザの大ピラミッド
  • バビロンの空中庭園
  • エフェソスのアルテミス神殿
  • オリンピアのゼウス像
  • マウソロス霊廟
  • ロドス島の巨像
  • アレクサンドリアの大灯台

なのですが、Wikipediaには親切にも昔描かれた想像画も一緒に載っていたんですよ。その中の「ロドス島の巨像」を見た瞬間・・・

ロドス島の巨像の想像画(Marten van Heemskerck)
Marten van Heemskerck (1498-1574) - http://www.rhodos-welten.de/koloss/koloss.htm, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1508407による

あ、これ見たことある!

「船が股の下通ってるよw」もそうですが、この構図に既視感があったのです。

海外ドラマ通としては、すぐどこで見たのか気づきましたとも。それが『ゲーム・オブ・スローンズ』なのです。

『ゲーム・オブ・スローンズ』での「ブレーヴォスの巨像」

百聞は一見にしかず。実際見てもらえればその「クリソツ」加減が分かるというもの。自由都市ブレーヴォスに船で入港する際にこの「ブレーヴォスの巨像」のお股をくぐり抜けて行く必要があります。アリアの剣術修行プロットのためシーズン5で頻繁に登場する場所ですね。

『ゲーム・オブ・スローンズ』で、自由都市ブレーヴォスの入り口のブレーヴォスの巨像
Game of Thrones [Credit: HBO]

なるほど、この像は「ロドス島の巨像」をオマージュしてるのですね。

『ゲーム・オブ・スローンズ』に現実の「世界の七不思議」に対応するものはある?

そうなると俄然気になるのが、「ロドス島の巨像」以外の「世界の七不思議」が『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界に登場するかどうかです。

そこで、ちょっと考えてみると、『ゲーム・オブ・スローンズ』にピラミッドっぽいものが登場してたのを思い出します。それが「ミーリーンの大ピラミッド」です。ちょと角度が急だけどね。

『ゲーム・オブ・スローンズ』で、ミーリーンの大ピラミッド
Game of Thrones [Credit: HBO]

やはり、そうか。全部隠れていやがったんだ・・・。こうやって、点と点が線でどんどん繋がっていき、なんかやる気が出てきて、残り全部を特定してやろうという個人的な野望がもたげてきました(笑)

自分一人でできない時は、同志を世界から探す

しかし、ここで残念なお知らせです。

ブログ主は『ゲーム・オブ・スローンズ』は英語字幕で2回通して見ましたけど、実はそこまでオタクではないんですね。細部はもう殆ど忘れている。だから、いくら探せど上記2つしか思い当たらないのです(笑) まあ、そもそも「古代世界の七不思議」自体あまり知らないってのもあると思います。

そこで、次にやることといったら、もちろん、自分と同じ疑問を持っている人が世界で居ないか探すことですね(笑) その人がその問題を既に解決していれば、その解決策をパクればいいんですw

早速適当な検索ワードでググってみると・・・

やはりredditにビンゴなスレがありましたよ! さすが世界の超巨大掲示板。

このスレ主のユーザーは世界七不思議の「アレクサンドリアの大灯台」と『ゲーム・オブ・スローンズ』の「オールドタウンのハイタワー」の間に類似性を見て、私と同じことを試みたのでした。

『ゲーム・オブ・スローンズ』で、オールドタウンのハイタワー
Game of Thrones [Credit: HBO]

そして、個人的に特定した5つと、これじゃないかという2つの説をredditに載せて、みんなから意見を募ったのでした:

[EVERYTHING] Trying to find the 7 Wonders of the Ancient World in Game of Thrones

Here are the places i can identify:

  • The Great Pyramid of Giza – The Great Pyramid of Meereen
  • The Colossus of Rhodes – The Titan of Braavos
  • The Lighthouse of Alexandria (near The Library of Alexandria) – The Hightower of Oldtown (near The Citadel)
  • The Hanging Gardens of Babylon – The Water Gardens of Dorne
  • The Mausoleum at Halicarnassus – The House of Black and White

Places i’ve not figured out, but i have theories:

  • The Temple of Artemis at Ephesus (or this interpretation) – possibly The Red Temple of R’hllor at Volantis.
  • Statue of Zeus at Olympia – possibly Great Sept of Baelor and the statue outside (though they are not ivory and gold).

このユーザーによると上で私個人が見つけた対応の他に、「バビロンの空中庭園」と「ドーンのウォーターガーデンズ」、「マウソロス霊廟」と「黒と白の館」を対応させていますね。スレッド内ではウォーターガーデンズは違うとか、議論してるので興味ある方は読んで下さい。自分はそこまで深く理解してないので、ちんぷんかんぷんです(笑) 現実のヨーロッパの地図とも対応させていて、オタクさん達はかなり本格的です。

『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界における本『Wonders Made by Man』

さて、調査を続行していると、更に面白い情報がもたらされます。

『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界観はジョージ・R・R・マーティンの原著『氷と炎の歌』から来ているのですが、その原著の中と『ゲーム・オブ・スローンズ』本編内で『Wonders Made by Man』(和訳は「人類によって作られた驚異の数々」)なる本が紹介されているというのです。そして、その本がこの世界での9つの「驚異(wonder)」を紹介しているというのです! つまり、その本は『氷と炎の歌』の世界内でのある種の 「世界の不思議」を紹介しているんですよ(笑)

Wonders Made by Man

『氷と炎の歌』の小説の中で、著書「Wonders Made by Man」は人の手による世界の9つの驚異を記録している。でも、今の所8つしか分かってないのだが。

In the A Song of Ice and Fire novels, “Wonders Made by Man” records nine man-made wonders of the world, although only eight have been confirmed in-universe so far.

  • The Wall
  • The Valyrian roads
  • The Titan of Braavos
  • The triple walls of Qarth
  • The three bells of Norvos
  • The Long Bridge of Volantis
  • The Palace With a Thousand Rooms in Sarnath
  • The Great Pyramid of Ghis

やっぱり! 私が「世界の七不思議」と対応させた「ブレーヴォスの巨像(The Titan of Braavos)」が物の見事に入っているでないですか(笑)

つまり、ジョージ・R・R・マーティンの御大は『氷と炎の歌』の世界の構築のため、現実の「世界の七不思議」をオマージュして、この世界に「世界の九不思議」を既に導入しており、更にはそれについて書かれた劇中内の本(著者はLomas Longstriderなる人物)まで完璧に作り上げていたのです! だから『ゲーム・オブ・スローンズ』に「世界の七不思議」っぽいものが出てきてたんですね。

なお、上で海外ドラマの『ゲーム・オブ・スローンズ』内でもこの本が登場すると書きましたが、頑張って調べたところ、最近ようやく見つけることができました。

場面は、サムが図書館の司書見習いで働き出すエピソード。夜、家で妻と本を読んでいて、ふと偶然ドラゴンストーンの場所の記述を本の中に発見するのですが、実はこの時サムの妻ギリーが読んでいる「Legends of the Long Night」なる多分子供向けの本(ギリーは字が読むのを練習中?!)内に、著者「Lomas Longstrider」と題名「Wonders Made by Man」が出てくるのですよ:

ギリー: “Legends of the Long Night.”
『ゲーム・オブ・スローンズ』で、サムの妻ギリーが読む「Legends of the Long Night」
Game of Thrones [Credit: HBO]

右ページの下部分ですが、多分暗くて分からないと思うので、コントラストを付けて拡大してみます。著者名の姓名のLが元は赤いのに注意:

『ゲーム・オブ・スローンズ』で、サムの妻ギリーが読む「Legends of the Long Night」にLomas Longstrider著「Wonders Made by Man」の記述
Game of Thrones [Credit: HBO]

ほらね「Lomas Longstrider」と「Wonders Made by Man」と書いてあるのが分かるはず。だから、ギリーが読むこの本には「世界の九不思議」のことが書いてあるのだと思われますね。

こんな言及もされない、ストーリに関係のない小道具の本にまでこんなネタを詰め込んでいるんですから、そりゃ『ゲーム・オブ・スローンズ』は制作費が莫大に掛かるわけですね(笑)

最後に

今回は「世界の七不思議」が『ゲーム・オブ・スローンズ』内に出てくることについて調査してみました。調べていくと、原著の『氷と炎の歌』世界内には「世界の九不思議」があって、それをまとめた本(劇中内本)Lomas Longstrider著「Wonders Made by Man」があるのでした。

改めて振り返ると、この世界観を出すため細部まで詳細に詰めたジョージ・R・R・マーティンがすごいってだけなのかもしれません(笑)

私は『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンではない(not a huge fan)なので、間違っているところがあったらツイッターで指摘して下さいませ。それでは〜


「世界の七不思議」という呼称の不思議↓