「Rhyme(ライム)」の意味とは?

ライム」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

もちろん、緑の酸っぱいフルーツ「lime」でしょうか?

ライムの果物
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実は、英語にはもう一つのより重要な「ライム」があって、今回紹介するのはそっちの方。

綴りは「rhyme」なので、果物のライムとは発音上/l/と/r/の差があるのですが、残念ながらその違いを表現するうまい方法が日本語には無いので、カタカナでは一律「ラ」になってしまっています。

さて、肝心のrhymeの意味ですが、言葉遊びの「韻、押韻」のことです。

rhyme

(自動詞、withを伴って)単語がライムするとは、強勢音節の母音から最後までが同じに発音されること。

(intransitive, followed by with) Of a word, to be pronounced identically with another from the vowel in its stressed syllable to the end.

英語では途中から最後までなので、正確には脚韻ってやつですね。makeとtakeとか、easyとpeasyとjapaneseyとかです(笑)

ここで重要なのは「音」ってこと。綴りでは決してありません。ライムを調べる時は辞書の発音記号です。

英語は「Rhyme」に敏感

実は英語を勉強してると、英語が「rhyme」に敏感な言語であることが薄々分かってきます。というか、日本語があんまり「rhyme」しないってだけかもしれませんね。多分、ラップの中でしか出てこない気がする(笑)

いや、音だけなら「赤い」と「青い」とかありますけど、それって単なる「い」で終わる形容詞じゃんってw 「勉強する」と「運動する」だって「それ動詞じゃん」だし・・・。なんかひねりがないですね。熟語で「勉強」と「環境」だったら「きょう」繋がりでrhymeでしょうか。でも、普段あんまし気にする人いないですよね。

その一方、英語は非常にライムするんですよ。そもそも、接尾辞で結構な単語ができていますからね。「temptation」と「relaxation」とかさ。「foolish」と「boyish」とか。

海外ドラマでの「Rhyme」の例

だから、海外ドラマでも「rhyme」を指摘したりするのはよく出てきます。

メンタリスト

『メンタリスト』ではリズボンが偶然ライムしたのを聞き逃さないジェーンですし。

リズボン: When in doubt, don’t act out.
ジェーン: You just made a rhyme.
『メンタリスト』で、リズボンとジェーン
The Mentalist [Credit: CBS]

ビッグバン★セオリー

『ビッグバン★セオリー』では、boulder(ボウルダー)のライムを探すラジを助けるエミリー。

ラジ: I just couldn’t rhyme anything with “boulder.”
エミリー: Colder, shoulder, soldier, folder–
『ビッグバン★セオリー』で、ラジとエミリー
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

奥さまは魔女

そして、『奥さまは魔女』には、このライムを全編に使ったエピソードがあります。朝起きると、サマンサの口から出るフレーズが全てライムになるという回。

自分のライムになる状況を説明するセリフですら「time」と「rhyme」でライムするしつこさです(笑)

サマンサ: Whenever I speak, every time, my words come out in rhyme.
『奥さまは魔女』で、サマンサとダーリンの寝起き
Bewitched [Credit: ABC]

なお、YouTubeの公式チャンネルに、このエピソードの冒頭が紹介されていますね。「my sweet, by your feet」や「That’s what I said. Just popped into my head」が冒頭の2つのライムです。

『スーパーマリオブラザース2』エンディングの不完全ライムの謎

さて、ここまで英語でのrhymeの基本を抑えたところで、話は懐ゲー『スーパーマリオブラザーズ2』に飛ぶわけです。

このゲーム、初代とは打って変わっての高難易度、ディスクシステムのとっつきの悪さ(チャルメル買って応募するとディスクシステムが当たるとかいうのが当時あった気が・・・)でプレーした人がどのくらいいるか疑問ですが、実はこのゲームはマリオと緑で有名なルイージの2人のキャラをプレーヤーが選択でき、それぞれ操作性能が異なるという一粒で二度美味しい設計なんですね。まあ、ルイージでクリアするのは操作性に結構難があって非常に難しいのですが(笑)

そんな超高難易度のゲームをルイージでクリアする出てくるのが以下の画面。当時は子供心にどんな意味か分からず地団駄を踏んでいましたが、今なら意味は分かりますね。「平和への道ができ・・・うんぬん」。そして、上でライムの基本を習った皆さんなら、この文章がrhymeしてるのにも気づくはずです。「paved」と「saved」、「trip」と「friendship」と。

『スーパーマリオブラザーズ2』のルイージのエンディング
スーパーマリオブラザーズ2 [Credit: Nintendo]

このように、詩とか吟遊詩人が物語を紡ぐ時とかにライムって必ず出てくるんですよ。

ところで、この真ん中の文章「Hurrah to Luigi Our only hero(ルイージに万歳、俺達の唯一のヒーロー)」がライムしていないのがちょっと気になりませんか? 「Luigi」と「hero」。ライムしても良さそうな気がするんですけど・・・。英語では真ん中はライムしちゃいけないとか規則があるんでしょうか?

いやいや、実はこれある意味ちゃんとrhymeしてるんですよ。

種明かしは主人公マリオ(Mario)でクリアーしてみると・・・(笑)

『スーパーマリオブラザーズ2』のマリオのエンディング
スーパーマリオブラザーズ2 [Credit: Nintendo]

そうなんです。実はマリオの時に「Mario」と「hero」とライムするようになっているのです(笑) しかし、ルイージには容量不足で専用メッセージが用意できなかったのか、緑でクリアする子供が出てくるなんて開発者が信じてなかったのか、単に用意するの面倒だったのか定かではありませんが、マリオのエンディングメッセージを代用しているためライムされないのでした。これがルイージエンディングの不完全ライムの謎の全貌でした。この頃から差別されていたのですね、ルイージって(笑)

最後に

今回は英語でのrhyme(ライム)について見てみました。意味は「押韻」のこと、英語では単語の末尾の音を合わすのですね。詩や歌や標語によく出てきて、吟遊詩人が大好きなレトリックです。

そして、名作?ゲーム『スーパーマリオブラザーズ2』におけるルイージのエンディングの不完全ライムについても触れてみました。このrhymeだけからも、緑の弟が差別されていることが分かるのでした(笑)

今日はここまで。それでは、また会う日まで。