カラオケの語源を語るテッド

テッド: Carl… did you know the word “karaoke” is Japanese for “empty orchestra”? Isn’t that hauntingly beautiful?
『ママと恋に落ちるまで』で、テッドはカラオケにハマりカールに語源を教える
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

海外ドラマでのカラオケ(karaoke)のお約束

カラオケというのは『ママと恋に落ちるまで』のテッドが言うように語源は日本語(空のオーケストラ)なので、日本人の自分としては海外ドラマで出てくると当初違和感を感じたものでした(キャラオケという発音と共に)。

そんなカラオケの日本との大きな違いは、歌う場所がカラオケボックスではないという点。カラオケバーやら、カラオケナイト、カラオケパーティーといった大勢が集う前で歌うというのが特徴的でしょうか。

♪Playing by the rules♪
『ベター・コール・ソウル』で、ジミーとチャックは弁護士合格パーティーでカラオケをデュエット
Better Call Saul [Credit: AMC]

そのためか、海外ドラマではカラオケが物語の筋書きに重要な影響を及ぼすギミックとしても登場する事がよくあります。

例えば、自分の本心を歌に託して歌い上げ、第三者がその感情に気づくというのが王道。

TV Tropesでの解説

テレビのお約束を集めたサイトTV Tropesでもこのお約束が取り上げられていますね:

Karaoke Bonding Scene

このお約束は、公衆の面前でのカラオケが歌い手とその部屋にいる人々との関係にスポットライトを浴びせる。

  • 最初は、一人が単独で歌う時、しかし聴衆の中の別のキャラの利益になるように。曲選択と舞台設定は通常これを補完する。このパターンは、気まずいかもしれないし、そうでないかもしれない。
  • 二番目は、二人以上の人々が一緒に歌う時だ。このパターンは歌い手達の間の相性を披露する。通常、彼らは最初歌うのに乗り気でないが、徐々に自信を持ち、お互いがよりリラックスするようになる。通常、デュエットが歌われる。

This trope is when a public karaoke performance spotlights the singer/s’s relationships with the people in the room. It comes in two varieties:

  • The first is when one party is singing alone, but for the benefit of another character in the audience. The song choice and staging will usually complement this. Given the karaoke setting, it may or may not be an embarrassing attempt.
  • The second is when two or more people are singing together. This variation showcases the chemistry between the singers. They are usually reluctant to sing with each other at first, but slowly gain more confidence as they become more comfortable around each other. This is usually an example of Duet Bonding.

簡単に言えば、カラオケの歌い手が観衆の中の意中の一人に歌いかけるパターンと、凸凹コンビがデュエットを歌い、徐々に打ち解けカップルになる契機になるパターンです。上で紹介した『ベター・コール・ソウル』はまさに後者のパターンです(兄弟なのでカップルではないですが(笑))。

海外ドラマでのカラオケのお約束

ギルモア・ガールズ

私がこのお約束に気づいたのが『ギルモア・ガールズ』を見ていた時。町内会のカラオケパーティーでローレライは嫌々ホイットニー・ヒューストンの『I Will Always Love You』を歌います。最初は戯けた感じで真剣味はまったくないのですが・・・

♪If I should stay I would only be in your way♪
『ギルモア・ガールズ』で、カラオケで『I Will Always Love You』を歌うローレライ
Gilmore Girls [Credit: The WB]

しかし、聴衆の中にルークが居ることを発見すると、コミカルさは消え失せ、感情を込め本気で歌い始めます。これはTV Tropesのお約束の1のパターン。『I Will Always Love You』という曲の選択もここでは重要。

♪I will always love you♪
『ギルモア・ガールズ』で、カラオケで『I Will Always Love You』を歌うローレライ
Gilmore Girls [Credit: The WB]

glee/グリー

『glee/グリー』は元々がミュージカルドラマなので、歌に乗せて自身の感情を歌うのは十八番(オハコ)と言っても過言でないのですが、興味深いことに、わざわざカラオケのセッティングでこれを実現してる場面がありました。

レイチェルとクラスメイトの男性がデュエットでカラオケ。

♪If you just take my hands♪
『glee/グリー』で、カラオケをデュエットで歌うレイチェル
Glee [Credit: Fox]

しかし、二人の間に何か(chemistry)が生じているのに観客の一人恋人のフィンは気づき始めます・・・。これはTV Tropesのお約束の2のパターンですね。

『glee/グリー』で、カラオケをデュエットで歌うレイチェルを見るフィン
Glee [Credit: Fox]

最後に

今回は、海外ドラマでカラオケがキャラ間の人間関係の進展に影響を与えるギミックとして使われるお約束を見てみました。

私は日本のテレビは全く見ていないので、日本でもこれと同じシチュエーションはあるのか分かりませんが、カラオケボックスだとこのお約束の導入は難しそうです。おおやけのセッティングで、最初は渋々嫌々歌い出し、次第に感情がこもってくるのがパターンなので、カラオケボックスだとその前提が崩れてしまうからですね。もしかしたら、個室でない居酒屋やキャバクラ等の他の客も聞けるカラオケのセッティングだとあるえるかもしれません。

まあ、カラオケが海を渡って、海外ドラマでこのようなお約束で使われているというのは、日本人としてなかなか興味深いのではないでしょうか? それでは〜