「ミックステープ」の意味と、日本語Wikipedia記事の不思議
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海外ドラマ視聴の利点
海外ドラマを(英語字幕で)大量に見ていると、知らないうちに英語圏に根付いた文化的な語彙も自然と身についてしまうんですけど、自分的には「mix tape(ミックステープ、mixtapeとも)」がその一つなんじゃないかなと感じています。
「ミックステープ」の意味とは?
この「ミックステープ」は、日本人には馴染みがないかもしれません。ミックスしたテープって何?って感じ(笑) でも、英語版Wikipediaを読めば、その意味は一目瞭然です:
Mixtape
ミックス・テープとは楽曲の寄せ集めだ、通常、複数の音源から、メディア上に録音される。1980年代の始まりに関しては、この用語は通常カセットテープ、CD、デジタル選曲リスト上の自家製の楽曲のコンピレーションを意味する。
A mixtape (alternatively mix-tape, mix tape or mixed tape) is a compilation of music, typically from multiple sources, recorded onto a medium. With origins in the 1980s, the term normally describes a homemade compilation of music onto a cassette tape, CD, or digital playlist.
そう、80年代にカセットテープに音源を録音できることが可能になると、一般ピーポー(特に若者)がこぞって自分のお気に入りの曲を録音し出したのでした。その中には、自分独自にアーティストや曲を並べ替えたり、曲の間のつなぎも完璧になるよう試行錯誤を重ね、録音時間も気にしながら、世界に一つしか無い音楽テープを作っていたのです。それこそが「ミックステープ(mix tape)」なのでした。
これって日本でも普通に行われていた実践だと思うんですけど、どうでしょうか? 何か特別な呼称は無いのかな?
いずれにしても、このミックステープ、アメリカでは尋常でないくらい幅広く普及していたのです:
Mixtape
エッセイストのジェフリー・オブライエンはミックステープのこの定義を次のように表現する「多分、最も幅広く実践されたアメリカ芸術形式だ。」
Essayist Geoffrey O’Brien described this definition of the mixtape as “perhaps the most widely practiced American art form”.
恋人への「Mix tape」
そんなミックステープは、自分のためだけではなく、特別な人へ特別な思いで作るということも実践されます。高校生が彼女に作ったり、彼女とのドライブデートの時に掛けるミックステープをどうするか、デート前日まで頭を悩ませたり(笑)
だから、ミックステープは青春の甘酸っぱい思い出と共に、黒歴史も詰まってるというように描かれることも多いのです。だって、ミックステープはその人が過ごした青春を映し出す鏡でもあるのだから・・・
『フレンズ』でのミックステープ
これに関して、シットコム『フレンズ』に面白いシーンがあります。好きになった女性にミックステープを作るロス(笑)
ドン引きする女性。しかも、ロスはL-wordまで言ってしまいます・・・
そんなミックステープ文化も、大容量の記録媒体が現れ出し、カセットテープが押し入れで埃をかぶり始めると衰退していったのです。だって、もう、そんな面倒なことをする必要はなくなったのですから・・・
Wikipedia日本語版の「ミックステープ」記事
ここまでを踏まえて、皆さんにはWikipedia日本語版の「ミックステープ」の項目を是非読んで欲しいのです:
ミックステープ
ミックステープ(Mix tape)とは主にアメリカ合衆国で生産・発売されるテープ・CDの一種である。ミックスCD(Mix CD)などとも言われる。
生産・発売?? ズコー。おいおい、ですよね?
この記事には、青春を謳歌していたアメリカの若者が作ったセピア色なノスタルジーとビタースイートな黒歴史が同時に詰まったホームメイドな意味での「mix tape」については何も触れられていないのです。
私も驚きでした。海外ドラマを大量に見て馴染んだ「mix tape」文化の片鱗もない記事に。なんでこんなことが起きるのかすごい不思議。
最後に
今回はアメリカでの「mix tape」の意味と、Wikipedia日本語版「ミックステープ」の内容の酷さについて見てみました。
この記事を読んだ人なら、何故ひどいのか分かったかと思います。
海外ドラマを見ていると、自然とこういうことも学べるのがいいんですよね。それはまた別の記事で。それでは〜
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