スピードラン(テレビゲーム版)の意味って何?

最近ネット上でspeedrunという単語を目にする機会が多くなりました。以前から動画配信サイトのTwitchやYouTubeではおなじみのコンテンツでしたが、そろそろこの用語も大衆化されてきたようです。

そのスピードランの本来の意味とは、次の通り:

speedrun

(テレビゲーム)コンピューター、テレビゲームの最初から最後までのプレイ、その中のゲーム全体や一部分(とある面のような)をできるだけ早く終わらせる意図でプレイされる、任意で特定の前提条件が設けられる。

(video games) A playthrough of a computer or video game in which the whole game or a select part of it, such as a single level, is played with the intent of completing it as quickly as possible, optionally with certain prerequisites.

つまり簡単に言えば、テレビゲームの最速クリアなんですね。好きなゲームを世界の誰よりも速くクリアするべくクリアタイムを競っている(そしてそれをライブ配信してる)人たちが世界中には何千人(?)と居るのです。

実際、TwitchやYouTubeを英単語「speedrun」で検索すれば、そういった何千回という試行の中から生まれたベストプレー、世界記録(WR)を見ることができます。チャット欄のI was herePOGのコメントと共に・・・。

彼らは神プレーやバグ、乱数などありとあらゆるゲームの仕様を駆使し、一般人的にはありえない速さでゲームをクリアしていくのです。

プレステ4のコントローラー
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スピードラン(大衆化版)の意味って何?

そこから転じて、このspeedrunはテレビゲーム以外にも「何かを最速で達成する試み」に対しても使わるようになってきました。

例えば、次は日本生まれのチェスのSGM(スーパーGM)ことHikaruのクリップですが、この中で彼はチェスでレートを3000まで上げるスピードランをしているのです(笑)

これなんかも、テレビゲームの枠組みを超えて、スピードランと言う概念が大衆化されているのが分かります。

また、このスピードランはネットスラング的に皮肉にも使われます。

いくつかRedditの記事を拾ってみると・・・

例えば、次のスレは、ネトフリがパスワード共有の対策に乗り出したという記事。それに付いたコメントがbankruptcy speed runをしているというもの。つまり、最速の倒産を競っているというニュアンス(笑)

Netflix estimates 100 million households are sharing passwords and suggests a global crackdown is coming

Netflix running that bankruptcy speed run any%

他にも、ロシアがウクライナのこども病院を爆撃したというスレでは、ロシアは戦争犯罪のスピードランをしている、といった具合。

Fury at 'barbaric' attack on Ukraine children's hospital

Speedrunning war crimes

もう一つ、ロシアのプーチンがウクライナ侵攻がうまくいかず激おこという記事には、「戦争を始め→地下壕で自殺」スピードランをしてると皮肉。Any%はspeedrunの前提条件のことですが、この場合の意味はなんでもありということ。

Putin ‘furious’ Ukraine invasion hasn’t been ‘easy,’ EU official says, citing intel report

“Start war -> kill yourself in a bunker” speedrun Any%

これらのように、アホなことやってる人にspeedrunしてると使用されるのが最近目立つようになってきた感じです。

日本でも、厳冬期の富士山に登る人に滑落スピードランしてるとか言えるのかもしれません(笑)

PS4を遊ぶ子供
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日本語ではスピードランではなくRTA

いや、これが実は、日本語では滑落スピードランとは言わないのです。日本語で最速クリアはスピードランではなく、独自和製英語のRTAなんです。RTAはリアルタイムアタックの略なので、敢えて言えば滑落リアルタイムアタックが正解なのです。

これについては、一応、RTA in Japanと言うサイトによれば・・・

RTAとは

RTAとは、ゲームを最初からプレイして実時間でどれだけ早くクリアできるのかを競う遊び方です。 実時間で時間を競うことから、リアルタイムアタックと呼ばれており、RTAはReal Time Attackの頭文字を取った略称です。

タイムアタックは海外ではSpeedrunという呼び方でも親しまれており、世界各国で楽しまれているゲームの遊び方です。

ということで、日本では既にタイムアタックという呼称が広まってしまったがため、英語のスピードランになることはなかったのですね。確かに、私自身も子供時代はタイムアタックと呼んでいた気がします。

TASの意味とは?

ついでに「TAS」ことタスについても軽く触れておきましょう。これはtool-assisted speedrunの略で、今まで紹介のスピードランでは人間がコントローラーを持って自力で最作クリアを目指していたのですが、一方のTASはエミュレータを駆使し、人間の反応速度では不可能な入力や乱数調整、メモリの中透視などを行って、理論値として最速クリアを目指すものです。これも、YouTubeでTASで検索すればいっぱい動画が出てきます。

この場合は、日本語でも名称「TAS」が採用されているようです。

ちなみに、私が好きなTASは名作『エキサイトバイク』。これがめっちゃ笑えるのです(笑)

最後に

今回は、最近ネットでよく見かけるようになった「speedrun」の意味について見てみました。

興味深いことに、愚かな行動をやっている人に対してスピードランが使われることもよくあります。例えば、人類は地球温暖化スピードランをやってるとかねw。

また、このspeedrunは日本語ではRTA(リアルタイムアタック)と呼ばれるという英語と日本語の間の分断についても見てみました。一度定着した用語を刷新するのは難しいのでしょうかね。

「RTA」を「スピードラン」という用語に置き換えるspeedrunをやって頂けたら個人的に嬉しいのですけど(笑)

それでは〜