子供と大人の境目のジレンマ

大人になるということは、数々の通過儀礼(イニシエーション)を受けること。それは、成人式だったり、タバコやお酒を先輩に勧められたり、一昔前は盗んだバイクで走り出すのもそうだったかもしれません。もっと大昔はちょんまげ結ったり?!

しかし、そういった大人の領域に入るということは、逆に言えば、子供時代の慣習を捨てるということにも他なりませんね。例えば、お人形遊び・かくれんぼ・鬼ごっこやめたり、泣く泣くお年玉をもらうのをやめたり。あるいは、親の呼称をパパ・ママからお父さん・お母さんに変えるのもそんな一例でしょうか。

とにかく、子供から大人になるのには様々なジレンマがあるのですよ(私は子供の経験があるので分かるのです!)

ハロウィンにコスプレする子どもたち
Image by Herney Gómez from Pixabay

ハロウィンでのトリック・オア・トリート何歳まで問題

そんなジレンマの中で海外で有名なのが、ハロウィンにおけるトリック・オア・トリートなんじゃないでしょうか? ハロウィンに子供が近所回って「trick or treat」とキャンディーをおねだりする慣習。昨今、日本でも不思議とやり始めましたが・・・。

でも、ここで問題は、何歳までトリック・オア・トリートが許されるのかなのです(笑)

Too Old to Trick-or-Treat

ハロウィンは全年代の多くの人々によって楽しまれる伝統だ、トリックオアトリートに対しては若い子供が通常対象視聴者だが。子供がかぼちゃをくり抜いたり、おぞましいコスチュームを着たり、怖い話をしたりするので、この休日は子供のためと君は思うかもしれない。それがこのお約束の全てである。

このお約束が起こるのは、年長児やティーンのキャラ(通常、10〜17歳)が自分がハロウィンにトリック・オア・トリートするのに年をとりすぎと思い込む時である、通常周りからのプレッシャーによって。彼らの不満足の手掛かりがあることもある、例えば、古いコスチュームが体に合わないや、飾り付けが怖くない、普通のキャンディーとは異なる扱いを受けるなど。または、単にこの休日の趣旨にもうのめり込めないのかもしれない。(略)

Halloween is a tradition enjoyed by many people of all ages, although younger children are the usual target audience for trick-or-treating. With kids carving pumpkins, wearing spooky costumes, and telling scary stories, you might think that this holiday is only for kids. That’s what this trope is all about.

This trope occurs when an older child or teenage character (usually about 10-17) decides they are too old to trick-or-treat on Halloween, usually due to peer pressure. There may be clues to their dissatisfaction, such as not fitting into their old costumes, not being scared by the decorations, being unhappy when they get substandard treats (such as rocks or Razor Apples), or just not getting into the holiday spirit anymore. […]

そこで、今回は海外ドラマでのトリック・オア・トリート年齢ジレンマを見てみたいと思います。

父と母の認識のズレ

カルト人気を誇る『フリークス学園』のサムは高校生1年の14歳。まさしく、このジレンマのど真ん中世代なんですね。夕食中、明日ハロウィンで『地球が静止する日』のロボット「ゴート」⤴️のコスプレをすると言いますが、父親に「年取りすぎだろ」と窘められます。

サム: I’m going out as Gort.
父親: Sam, what are you doing? You’re too old to go out trick or treating.
『フリークス学園』で、トリック・オア・トリートするか悩むサム
Freaks and Geeks [Credit: NBC]

ここは直前の母親との会話も興味深いので載せておきます:

母親: 🎵It was a smash It was a graveyard smash🎵 right?

サム: Hey Mom, Neal, Bill, and I decided to go trick or treating tomorrow night.

母親: Oh, Sam, that’s great! We have to get you a costume.

サム: No, I’m gonna make my own.

Freaks and Geeks

ハロウィンの定番ナンバーモンスター・マッシュ』を歌う母親に、サムは「明日友達とtrick or treatすると決めた」と言います。それに乗り気の母親は、我が子のためコスチュームを買おうとするんです。

つまり、我が子がいつまでも子供でいて欲しい母親と、早く自立して欲しい父親という構図が裏にあるのですね。

子自ら悟る

『アメリカン・ホラー・ストーリー』では、子供自ら年取ってることを悟るパターン。母親はスヌーピーのコスプレをさせたいのですが・・・。なお、子供の年齢は不明ですが、結構いい年。

母: Well, where’s your costume?
娘: I’m not trick-or-treating this year. I’m too old.
母: It’s Halloween. Everyone gets a chance to be someone else
『アメリカン・ホラー・ストーリー』で、アビーはハロウィンでトリック・オア・トリートしたくない
American Horror Story [Credit: 20th Television]

TakerからGiverへ

『キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き』では主人公とその娘の会話。この時点の娘の設定は15〜16歳。

リック: Have you decided what you’re gonna dress up as this year? Perhaps Indira Gandhi? Amelia Earhart? Hermione?

: I think I’m gonna skip it.

リック: Skip Halloween?

: Well, dressing up. I’ll still hand out candy at the door, but I’m too old to go trick-or-treating anymore. You know how we feel when the big kids come. I don’t wanna be that kid.

Castle

なお、ここで娘のセリフがトリック・オア・トリートに躊躇する理由の一端を垣間見せてくれるので、和訳してみましょう:

ええと、仮装はするわ。ドアでキャンディーも配るつもりよ、でもね、私はもはや年を取り過ぎてトリック・オア・トリートしに行けない。分かるでしょ、大きな子供が来た時に私達がどう感じるか。私はその子供になりたくないのよ。

つまり、キャンディーを配る側に、「トリック・オア・トリート」と聞いて喜び勇んでドアを開けたら大きい子供が立ってたときの落胆があるのですね(笑)

海外で「Trick or Treat」は何歳まで?

それでは「トリック・オア・トリート」できるのは一体何歳までなんでしょう? TV Tropesの記事には10〜17歳が悩むとありますので、10歳前後でしょうか?

次の場所では13歳から犯罪です(笑) しかも夜8時以降禁止。

また、次の記事でも12歳と13歳が境界線:

How Old Is Too Old to Trick-or-Treat?

バージニアの他の市でも同様のトリック・オア・トリート年齢制限が実施されている;バージニアビーチ、ポーツマス、サフォーク、ノーフォークなどでは12歳を過ぎた後のトリック・オア・トリートを禁じている。ニューポートニュースの子供で12歳以上は年下の兄弟姉妹の付き添いが許可されるが、マスクを着用することはできない。

Other cities in Virginia have similar trick-or-treat age limit laws in place; Virginia Beach, Portsmouth, Suffolk, Norfolk, and more prohibit trick-or-treating after age 12. Kids in Newport News who are 12 or above are allowed to accompany younger siblings but can’t wear a mask.

また次の記事では提案として、年齢制限ではなくキャンディー制限にしろとしています(笑)

You’re never too old for trick-or-treating

人々は何歳でもトリック・オア・トリートできる、でもキャンディーを受け取るためには何らかのコスチュームを着る必要がある、たとえそれが努力不要のコスプレでもね、ウエストポーチを付けて旅行客とかでも。ウゲーだけど、しようがない。

People can trick-or-treat at any age, but in order to receive candy you do have to wear some kind of costume, even if it’s one of those “funny” no-effort ones where you just wear a fanny pack and call yourself a tourist or something. Ugh, fine.

『ボージャック・ホースマン』トリック・オア・トリート方程式

この他にも様々な意見がネット上にはあって、日本人のワタクシ的には心底どうでもいいわけですけど、せっかくなので、このブログのメインテーマ海外ドラマを使って、この年齢制限のバウンダリー(境界)を求めてみたいと思います。(以下は冗談なので本気にしないでー)

そこで用意するのがアニメ『ボージャック・ホースマン』。この中にボージャック主催のハロウィンパーティーを時系列で追うエピソードがあるのです。

子供のトッドがボージャック邸に現れると、それを拒否するキャロライン。曰く「トリック・オア・トリートするには年取り過ぎだし、パーティーするには若すぎる」

トッド: Trick or treat!

キャロライン: No. You are way too old to be trick-or-treating, and way too young to be a guest at this party.

トッド: Oh, no! Why did I give you the option of trick or treat? I just wanted treat!

キャロライン: Come back when you’re five years older, or three years younger.

BoJack Horseman

トッドの「何故俺はオプションを与えたのだ?」はまさにその通りで、子供側は「trick or treat」ではなく、単に「treat」だけでいいんですよね(笑)

いずれにしても、キャロラインは「5歳年取ってからか、3歳若返ってから出直しな」とピシャリです。つまり、ここから、この時点のトッドの年齢をXと置けば、

パーティーできる年齢=X+5
トリック・オア・トリートの制限年齢=X-3

Xを消去して、即ち、

トリック・オア・トリートの制限年齢=パーティーできる年齢ー8歳 (*)

という恒等式が導かれます。

ちなみに、正確に5年後トッドは再訪問し、入室を許されます。これは、ダンボール上の記述から、2009年の出来事。

トッド: How ‘bout now?
キャロライン: Okay. Come on in.
『ボージャック・ホースマン』で、ハロウィンパーティーのドア係をするキャロライン
BoJack Horseman [Credit: Netflix]

従って、この時点でのトッドの年齢が分かれば、トリック・オア・トリートの制限年齢を求めることができますね。

FANDOMによれば、彼は1991年生まれなので、2009年時点で18歳。パーティー参加が許されるのには妥当な年齢でしょうか。

Todd Chavez

Born April 15, 1991

最後に、この18を『ボージャック・ホースマン』トリック・オア・トリート方程式(*)に代入することで

トリック・オア・トリートの制限年齢は10歳

という結論が得られました。

なんだ、TV Tropesと同じ結論じゃないですか(笑)

最後に

今回は海外での大人になるための階段の一歩「トリック・オア・トリート何歳まで問題」に焦点を当ててみました。当ブログの結論は10歳です。小学校4年生で、まだ声変わりしてない頃。これなら、ハロウィンにトリック・オア・トリートと玄関に来ても許せますね。

日本でもやりだしたハロウィンですが、いずれは日本の高校生も「トリック・オア・トリート」とするようになるのでしょうか?(もうやってる??) もしかすると、日本の高校生も海外の子どもたちと同じ悩みを抱えるのかもしれません。このイベントが一過性でなく、そこまで続けばの話ですけど。それでは〜


ハロウィーンエピソード↓