人々を意味する「One, You, They」の違い

ちょっと前にイディオム表現でのoneとsomeoneの違いをやったので、今回は人々を表す「one, you, they」の違いを見てみたいと思います。

自分は、このことはなんとなく肌感覚としては知っていましたが、今回改めて調べて非常に納得できました。

One と You

以前紹介したPractical English Usageにそのものの項目(不定人称代名詞)がありますね:

one, you and they: indefinite personal pronouns

2 oneとyou: 形式と礼儀

oneはyouより形式ばってる(そして、話し言葉より書き言葉でより多く見かける)。

4 話し手、聞き手を含む人々

oneは話し手を含まない人々には使えない。一方youは聞き手を含まない人々には使えない。

2 one and you: formality and class

one is more formal than you(and more common in writing than in speech).

4 people including the speaker/hearer

One is not used for people who could not include the speaker; you is not used for people who could not include the hearer.

Practical English Usage

次の『ビッグバン★セオリー』の場面が、まさにこの例でしょうか。ペニーは浴室で滑って怪我をしシェルドンに助けを求めます。ペニーが痛むのでパンツを履かないで病院に行こうとすると、シェルドンは母親から言われた言葉をペニーに伝えます。曰く、「万が一事故にあった時に備え、人はキレイな下着を履くべき」。ここはyouでも意味は通じますが、oneでフォーマルな言い方になってます。なお、この後のペニーの返しがうまいです。「そのoneとやらは既に事故ってるんだけどね」(笑)

シェルドン: Mother always told me one should wear clean underpants in case one is in an accident.
ペニー: One was already in an accident.
『ビッグバン★セオリー』で、ペニーが怪我をしシェルドンに助けを求める
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

それから、話し手・聞き手を含むかどうか云々はこういうこと。このブログの記事を書いている私(I)からしたら、youはこの記事を読んでいる皆さん、読み手、聞き手なわけです。一般的に言えば、コミュニケーションを取る相手側。

だから、You should…と言えば、私ではなくあなたがすべきということ。

You should 海外ドラマを英語字幕で見る.

とかね。

ここを「One should 海外ドラマを英語字幕で見る」にすると、この記事執筆者の私も含めて人はそうすべきと言っていることになるというわけ。

また、Iもyouも含まないグループを参照したい場合はoneやyouが使えないのでtheyやpeopleを使います。例えば、私も皆さんも海外ドラマを英語字幕で見ることの効果を理解しているとしましょう(そう願います)。その時私が「みんな海外ドラマの力を分かってないよなー」と愚痴りたい時、そのグループを参照するのにtheyやpeopleを使うんですね。だって、oneとすると私が含まれ私自身が海外ドラマの力を分かってないように響き、その一方、youにすると皆さんが分かってないことになってしまうからです。

They

theyの語法もPractical English Usageを見てみましょう:

one, you and they: indefinite personal pronouns

6 they

theyはoneやyouより幾分違ったより一般的でないたぐいの意味を持つ。通常、あやふやでない特定のグループを表す。

6 they

they has a rather different, less general kind of meaning than one and you. It usually refers to a perticular but rather vague group.

Practical English Usage

つまり、theyは特定のグループなんです。

だから、1年1組の学生が1年2組の生徒たちがムカつくならtheyで指すでしょうし、北海道の人が沖縄が暖かく住民をうらやましがる時もthey。日本人が欧米人連中がマスクしないことを述べたい時もtheyと言う感じ。

スポイラーアラート:昔、映画で『ゼイリブ』という怖いのがあったんですが、このtheyは地球人から見た時の地球に密かに住むエイリアンのことなんですね。ちなみにこの映画、子供の時に見たので、その夜は怖くて眠れませんでした(笑)

映画『ゼイリブ』の宣伝ポスター
They Live [Credit: Universal Pictures]

最後に

今回は、個人的にone, you, theyの違いを以前調べたんですが、それが結構ためになったのでまとめてみました。

ところで、そもそもなぜ気になったかの経緯なのですが、Key & Peeleの『Black Ice』というスキットにこのoneが出てくるんです。内容がとても面白いのでぜひご覧ください。

あらすじを簡単に述べれば、これはblack ice(薄氷)を巡って、black iceをあたかも黒人のごとく匂わし忌み嫌う白人至上主義者のアンカーと、それに対抗する黒人リポーターという構図のブラックな笑い。両パーティーがだんだんエキサイトしていきます。その中で、黒人リポーターが次のようなことを述べるんですね(1分25秒付近):

黒人リポーター: Well, one must keep in mind that, just because black ice looks different than white ice, it doesn’t make it any more dangerous. Also, one must remember how hard it is for black ice to survive, what with the authorities trying to destroy it with the snow plows and salt trucks, but black ice perseveres.

Key & Peele

one must keep in mindとone must rememberですが、ここの本心は、絶対youと言いたいんですね。白人至上主義のアンカー二人を含むyouと言いたいわけですが、それをぐっと我慢して、oneで自分を含めることで直接的に響かないよう努めている。これが面白かったのです。それでこの記事と相成りました。

ちなみに、Key & Peeleは非常に面白いので万人におすすめ。おすすめ海外ドラマを尋ねられた時は、これからはKey & Peeleにしようかな。それでは〜