ドラマの中の英語

The Name of the Game Is Communication

陳腐な表現の王様「Make the World a Better Place」

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ハタコトレイン騒動

今週、阪急電鉄の企画「ハタコトレイン」が炎上しました。

nlab.itmedia.co.jp

詳しくは上記記事を読んで頂くとして、一行にまとめると、

はたらく言葉たちから精選した言葉を使った車両広告ジャックをしたら、その内容があまりにもお花畑で炎上した

ということらしいです。確かに、ハタコトレインの広告に使われていた”言葉”は、ネタなのかマジなのか微妙な線を彷徨ってる感じです。「毎月50万円もらって生きがいのない生活、30万円だけど仕事が楽しい生活、どっちがいいか」、なんてカチンと来る人は多そうですね。

そんな大本のサイトはたらく言葉たちに行くと、”言葉”という名のフレーズが毎回トップにランダムに現れます。ここで驚くべきことに、これに必ず英語が付いているんです!! しかも、かなりしっかり訳されている感じ。ということで、個人的に、英語から日本語を想像するという遊びをしてみました(笑) 例えば

Changing jobs isn't something to be afraid of. It's like you're being transferred to a different department within Japan.

はたらく言葉たち

が出てきたなら、

仕事を変えることは恐れることじゃないよ。ある意味、日本国内で配置転換するようなもんじゃん

と訳して・・・正解と見合わせます。

転職や再就職も恐れることなんてないんですよ。 日本の中で、ちょっと人事異動しただけなんです。

はたらく言葉たち

お、結構いい線いってるけど、語尾を「ですよ」にして読者をイラツカせないと、まだまだ「はたらく言葉たち」初段は難しいようです(笑) 

って感じ。ネタか本気か微妙なフレーズが出てきて、これが結構面白い。PCだと日英が両方同時に表示されるので左半分を隠すこと、モバイルは一度英語に設定すれば英語表示されるのでリロード時に英語にするのを忘れないこと、を守ればOK。

ちなみに予言しておきますけど、英語学習目的と称して英語版フレーズをまとめた学習書が絶対出ると思います。萌えタンなんかと同じ色物ジャンルで行けないかな?(笑) 地獄のミサワと組めば売れると思うんだけど。少なくとも、和書レビュー欄でボロクソにこき下ろされている↓↓のよりはマシなはず。

はたらく言葉たち1 (はたらく言葉たち)

はたらく言葉たち1 (はたらく言葉たち)

さて、そんな遊びをしてふとサイト全体に目をやると、このサイトって全体が日英が併記されている形式なんですね。そこで英語部分を読んでいくとAbout "Words that Work"に興味深い説明がなされていました:

The inspiration behind this book is that people are impressed by someone who works hard, and makes the world a better place.

出ました! 「makes the world a better place」、この世界をより良い場所にする(笑)

これ見た瞬間、このサイトってやっぱ壮大なネタなんじゃ・・・と思うのでした。 というのも、この英語表現って本当にマジで超使われるんですけど、よく使われすぎて逆にネタになってるレベルなんです。英語だとclicheとかcheesyとかcornyって感じ。

シリコンバレーでのMake the World a Better Place

この「Make the World a Better Place」ネタが使われている海外ドラマと言って思い出すのが「シリコンバレー」です。これはシリコンバレーのとあるスタートアップを扱ったドラマですが、その中にこの表現がネタとして登場します。

次のシーンでは、Making the world a better place.をマントラのように唱えながらイッてしまうアーリック。

アーリック: Making the world a better place. Making the world a better place. Making the world a better place. Making the world a better place.

Silicon Valley/Season 1/Episode 3

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Silicon Valley [Credit: HBO]

他にも、ドラマ内のTechCrunchのスタートアップのコンペティションで、登壇者の決まり文句が一様にmaking the world a better placeになってたりして、かなり皮肉ってたりします(笑)

スタートアップA: We're making the world a better place, through Paxos algorithms for consensus protocols.

スタートアップB: And we're making the world a better place through software-defined data centers for cloud computing.

スタートアップC: HumanHeater is a microwave technology that can heat the surface of a person's skin instead, potentially saving millions in heating costs and helping the environment, thereby making the world a better place.

Silicon Valley/Season 1/Episode 7

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Silicon Valley [Credit: HBO]

最後に、FooliのCEOギャビンが友人ピーターの送別会でスピーチをしてる場面。もちろん、死者に対してもmake the world a better placeは欠かせないセンテンスです。

ギャビン: After all, this valley is the place Peter himself helped build. Where we come together as dreamers, all of us, to truly make the world a better place.

Silicon Valley/Season 2/Episode 1

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Silicon Valley [Credit: HBO]

という感じで、意識高い系が使うmake the world a better placeをこのドラマめっちゃ皮肉ってるんですね(笑)

最後に

今回は、「ハタコトレイン」が炎上から「Make the World a Better Place」に行って、それからシリコンバレーでの「Make the World a Better Place」ネタの使われ方を見てみました。

「世界をより良い場所にする」は海の向こうの意識高いスタートアップの人々に頻繁に使われる表現。でも具体性に著しく欠けているので、小学生が世界を平和にしたいって言ってるレベルなんですよね(笑) そしてみんな使うから、逆に鼻につくんです。そこをドラマ「シリコンバレー」は逆用して笑いに昇華してるんですね。

ちなみに、これだけ手垢が付いてしまっているので

相手: こっちは毎日頑張ってるんだよ

あなた: To make the world a better place?

というセリフが辛辣に響くのも納得できるのではないでしょうか? そして、私が途中でサイトはたらく言葉たちを壮大なネタと感じた理由も・・・(笑)