ドラマの中の英語

The Name of the Game Is Communication

Steal Someone's Thunder / 人を出し抜く

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今回は、イディオム「steal someone's thunder」の語源が面白かったので、意味と共にそれを紹介します。

Steal Someone's Thunderの意味

このイディオムの意味ですが、

(人の技を使って)人を出し抜く

です。ただ出し抜くのではなく、人の技を真似するのがポイント。そしてその結果、人が得ようとしていた栄光を横取りするニュアンスもあります。

例えば、芸人がいつも使っている決め台詞を言おうとした瞬間に別の芸人がそれを先じて言うのはsteal someone's thunderですし、ドラゴンボールの孫悟空がかめはめ波を打とうとしたら敵がかめはめ波もどきを撃って上を行くのもそうです。

辞書によっては「お株を奪う」という意味が載ってますが、相手の得意技である必要がなかったので採用はしませんでした。ただ、このイディオムが使われる大体の場面では、「お株を奪う」で問題なさそうです。上のドラゴンボールの例なんて、まさにそうですしね。

Steal Someone's Thunderの使用例

ここからは、steal someone's thunderがどう使われるのか、実際の海外ドラマのシーンを通して見ていきます。

ブルックリン・ナイン-ナイン

ジェイクが担当している事件の捜査が行き詰まります。女性陣が手を貸してくれようとすると・・・、ジェイクが選んだのは彼女たちでなく奥に座るチャールズでした(笑) 曰く、「steal my thunder」を最もしない男。チャールズも「借りることさえ怖い」と乗ってきます。ここでのsteal my thunderは事件解決の手柄の横取りを意味してますね。解決しようとした瞬間横取りする感じ。

女性刑事: Will you just let us help?

ジェイク: Okay, fine. I will let one of you help me... Charles.

女性刑事: Yeah!

ジェイク: And I am choosing Charles because he's the least likely to steal my thunder.

チャールズ: I would never steal his thunder. I-I'd be afraid to borrow it.

Brooklyn Nine-Nine/Season 1/Episode 5

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Brooklyn Nine-Nine [Credit: Fox]

SUITS/スーツから

薬の副作用を巡っての訴訟の回から。ハーヴィー達は製薬会社の弁護にあたります。相手弁護士が副作用実態を新聞広告に出すか250億円の慰謝料かと脅してきます。しかし、ハーヴィーは先手を打って、自ら新聞に副作用の謝罪広告を出します。これには相手の弁護士も、「Trying to steal my thunder, Harvey?」と負け惜しみしか言えません。ここでは、tryingと進行形にしてるのが注目点。「頑張って出し抜こうとしている」なので、まだ出し抜かれてはいないと暗に言ってますね。ここなんか「お株を奪う」だとおかしい箇所です。新聞広告が相手の得意技に聞こえてしまうので(実はそうなのが後半分かりますが・・・(笑)) ちなみに101の意味は別の記事で。

ハーヴィー: I see you found my ad.

相手弁護士: Trying to steal my thunder, Harvey?

ハーヴィー: Business School 101. You have a crisis, you acknowledge the problem.

Suits/Season 1/Episode 4

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ギルモア・ガールズから

次のシーンは、自分がギルモア・ガールズで一番好きなシーンから。スターズ・ホローの町のカラオケ大会にローレライが参加。最初はぎこちなく娘ローリーの大学卒業を祝してホイットニーのI Will Always Love Youを歌っていますが、途中から調子が乗ってくると、町の住人も「The kid(ローレライ) is stealing our thunder!」と褒めます。そして、ルークが会場に入ってくると・・・

町の住人: The kid's stealing our thunder!

Gilmore Girls/Season 7/Episode 20

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Gilmore Girls [Credit: The WB]

Steal Someone's Thunderの語源

さて、意味・使用例と見たので、ここでは語源(etymology)を見てみます。雷を盗むとはなんなのでしょう? なんだか神話っぽいですけど・・・お馴染みのWiktionaryによれば

Etymology

Based on a 1704 quote from John Dennis, a literary critic and minor playwright, who invented a novel method for creating a sound effect for thunder. The play in which he first introduced this method flopped, and the next play shown in the theatre was Macbeth. When the staging of Macbeth used his technique for simulating thunder, Dennis was reported in the press as jumping up and crying "How these rascals use me! They will not have my play, yet steal my thunder."

このイディオムは、劇場での雷の効果音を出す手法を新規考案した文芸批評家兼劇作家ジョン・デニスの1704年の発言を元にしている。この方法を導入した彼の劇が失敗に終わった後、その劇場ではシェイクスピアのマクベスを次の劇として上演していた。その中で彼の考案した手法がパクられているのを知らされた時、デニスは飛び上がり叫んだのだ「あの人でなし共、俺の劇は上演しないくせに、雷を盗みやがった!」

steal someone's thunder - Wiktionary

なんと、本当に雷を盗んだのでした(笑) こういうのが語源の面白いところだし、今でも連綿と使われているのがまた不思議な感じですね。

Thunder = 雷?

さて、ここからボーナスFun Fact。

実は、Thunderって日本語の雷じゃないんですよ。これは知らないとびっくりする話。実際、日本語の「」のwikipediaから英語版のジャンプ先は「Lightning」になってるくらい。

ja.wikipedia.org

それでは、Thunderは一体何を表しているんでしょうか? なんと「雷鳴」なんですって。雷の音の部分。つまり、日本語の雷の持つ「ピカピカゴロゴロ」のゴロゴロの部分なんです。

でもさ、これって上で紹介した語源そのままじゃん。だって、「あいつら、俺のThunderの手法をパクリやがった」ですからね。稲光は含んでいないんです。

Weblioではsteal a person's thunder

ちなみに、ネット辞書のweblioだとsteal a person's thunderと冠詞が付いてるんだけど、なんでだろう? 間違えだと思うので、至急直したほうがいいような・・・

ejje.weblio.jp

最後に

今回はイディオムsteal someone's thunderを見てみました。意味は「人を出し抜く」。海外ドラマでは、セリフやギャグを他人に横取りされた時に「You steal my thunder」として使われる印象です。面白いのが今回は紹介しませんでしたが、シットコムのフレンズでこのイディオムが結構使われていた点。5箇所ほどありました。こういうのは脚本家の癖なんでしょうかね?

使い所は、ある手法で何かを成し遂げようとしてる時に、横からその手法を使って手柄を横取りされる場面。今回の例だと、ブルックリン・ナイン-ナインは事件解決の手柄、スーツは新聞広告、ギルモア・ガールズはカラオケ。全部二人のパーティーがいて、片方が相手の技を使って出し抜くニュアンスになってます。

いずれにせよ、このイディオムを使う=成果を横取りされるという図式なので、あまり使いたくないイディオムかもしれませんね。あ、でも、ギルモア・ガールズの例のように、褒めるのに使うのはいいアイデアですね。

くれぐれも現実ではケンタッキーのサンダース人形だけは盗まないように(笑) あっちは綴りがSandersなのでそもそも音が違いますけど。