ドラマの中の英語

The Name of the Game Is Communication

Throw the Book / 厳罰に処す

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Image by succo from Pixabay

今回は、ネットで非常によく使われるイディオムthrow the book (at someone)を見ていきます。意味は「(〜を)厳罰に処す」。

en.wiktionary.org

ネットで使われるのは決まって、極悪非道の犯罪者が捕まった時。レイプとか、ヘイトクライムとか、宗教的に絡んだ犯罪とか。そんな人道的に許されないムカつき度満点の犯罪の時、ネット住人はその犯人にthrow the bookを望む、つまり検察に最大の量刑を課すよう求めるわけ。メインの犯罪だけじゃなく、付随する犯罪の不法侵入とか警察官への公務執行妨害とか、ありとあらゆる罪で起訴し、一日でも長く刑務所に居てもらいたいわけです。

さて、ここで素朴な疑問です。the bookを投げると、どうして厳罰になるのでしょうか? 

どうも秘密はthe bookにあるようです。このthe bookは日本で言う六法全書などの法律書、刑法書を表しているんだとか。つまり、法律書を犯人に投げる=比喩的に、法律書に書かれている刑法を一つ一つ犯人に適用、ってイメージみたいです。そこから、法で定められたマックスの量刑というニュアンスが出るのですね。

もちろん、親に先立たれた独り身の子供が空腹を満たすため犯した犯罪なんかの時はthrow the bookを望む人はいませんよね。同情の余地がありまくりですから。結局、法の下の平等と言っても、運用するのは人間ですから、ある程度のさじ加減がそこには出てくるわけなのです。また、量刑が国民受けするかと、検察側も世論の動向を見ているわけですし。

このイディオムthrow the bookですが、実際、ニュースサイトで以下のように使われていました。裁判官がトランプにthrow the book。ここを、この前紹介したイディオムをそのままの意味で受け取ることをしてみると、裁判官が六法全書をトランプに投げてるイメージになりますね。それはそれで面白いですけど(笑)

www.thedailybeast.com

なお、海外ドラマだと、このイディオムはあまり使われないのですよね。意外な感じです。実際、手元の字幕DBだと数件のヒットのみ。

次のベター・コール・ソウルの場面が典型的。軽犯罪で警察署にしょっ引かれたジミーに、知り合いの検察官が声をかけてくる場面。ジミーが「俺にthrow the bookするんでしょ」と茶化すと、なにかできるかもと検察官は真剣に考え出します。

ジミー: Don't you wanna throw the book at me for old times' sake?

検察官: Mmm, I'll see if I can work some magic...

Better Call Saul/Season 3/Episode 3

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Better Call Saul [Credit: AMC]

最後に

今回はイディオムのthrow the bookを見てみました。海外ドラマにはあまり出てこないけど、ネット上では頻繁に見かけるイディオムです。この非対称性が個人的にはすごい不思議なんですけど、これは多分、視点が大幅に違うからですね。ネット上の住人は、あくまでも野次馬の立場。「極刑を望む、厳罰を望む」等、自由に自分の意見を表明できるんです。それに対し海外ドラマでは、登場人物は基本的に犯人だったり、検察や弁護士なんですね。つまり、事件の当事者達。だから、海外ドラマではあまり出てこないのかも知れませんね。逆に言うと、その海外ドラマを見ている茶の間の視聴者がテレビの前で、「この犯人にはthrow the bookすべき」とか言っているのかもしれませんね(笑)

それでは〜