単なる大騒ぎではない イディオム「Make a Scene」の意味とは?
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辞書の意味と実際の使用例との乖離
海外ドラマの中で出てきた表現を英和辞書で調べたけどちょっと意味がその場面と合わないなといったことがよくあります。結局辞書は最大公約数的な定義になってしまうからですね。紙面の都合上全部の定義は載せられません。
「Make a Scene」の意味
今回はそんなイディオムの一つ「make a scene」を取り上げます。辞書には「大騒ぎする」という意味が載ってますが、それはちょっと浅すぎる解釈でしょ、というのを実際の海外ドラマのシーンで見ていきます。なにせ、文字通り訳せばシーンを作るですからね。
「Make a Scene」の海外ドラマでの例
『フレンズ』から
レイチェルは昇進の機会を得、人事との面接に臨みます。しかし、ボスのジョアンナはレイチェルを手放したくないあまり面接中に妨害を敢行し、人事面接自体は散々な結果。そのことで一言あるレイチェルは、ボスの部屋に直接乗り込んだのが以下の場面。泣きそうになるレイチェルにボスが一言「Don’t make a scene」。レイチェルは誰も居ないわよと言いますが、ボスはソフィーを部屋に呼びつけて「make a scene」させる魂胆です(笑)
レイチェル: Ahem. Uh, Joanna, I wanna talk about that interview.
ジョアンナ: I thought it went very well.
レイチェル: No, it didn’t. That’s what I wanna talk to you about. Now, just to brief you, I may cry. But they are not tears of sadness or of anger but just of me having this discussion with you.
ジョアンナ: Rachel, please, don’t make a scene.
レイチェル: There’s nobody here.
ジョアンナ: Sophie, get in here.
レイチェル: There’s nobody here.
このシーンから分かるのは、レイチェルは泣きそうになっていること。そして、周りに第三者かいるかどうかが重要なのが、レイチェルの「There’s nobody here」と、ボスがソフィーを呼んでることから分かります。つまりイディオム「make a scene」は単に騒ぐのではなく、何か感情を爆発させるんですね。そして周りの野次馬が「どうした、何が起こった?」と詰めかけてくる感じです。例えると、近所で大声で怒鳴り合う夫婦喧嘩が聞こえてきて、近隣住人が大丈夫か?と外に出て遠巻きに推移を見守るシチュエーション。まさにシーンを作ってますね。これだけ取っても、辞書の定義「大騒ぎ」とは少し違う感じです。
該当シーンは中盤から↓
『ビッグバン★セオリー』から
昔のようにギーク4人でゲーム三昧の週末を過ごしたかったラジは、週末が台無しになり感情を爆発。自分以外は彼女持ちですから。しかも、例え彼女ができたとしても、シェルドンより後という烙印は一生消せません(笑) 最後のペニーの一言はエイミーに向けたもの。エイミーにシェルドンの気を引く方法を聞かれた時に「make a scene」と答えていたペニーは、ラジが実際「make a scene」するのを見て「私が言ってたのはこれよこれ」とエイミーに伝えます。
ペニー: And that’s how a girl makes a scene.
ここでは全く赤の他人の第三者は居ないけれど、ラジが大声で自分の憤りを皆に訴えてます。外にまで聞こえるくらい。でも、ここでも大騒ぎって感じではないですね。感情の爆発をあからさまにしています。そして、ペニーの「make a scene」は女性の特権という仄めかしからも、感情的になる必要がありそうですね。
英英辞書での「Make a Scene」
それでは、オンライン英英辞書Wiktionaryではどう書かれているか見てみましょう:
make a scene
不必要な注目を自分自身にもたらすこと、特に公共の場での興奮した感情表現で。
To bring unnecessary attention to oneself, especially through a public expression of tumultuous emotion.
ということで、『フレンズ』で第三者が必要だったのはこの定義での公共性を担保するためですし、『ビッグバン★セオリー』で騒いで自分に注目を集めるというのは、まさにドラマクイーン(drama queen)なんですね。
最後に
今回見たイディオム「make a scene」は単に大騒ぎするのではなく、もっと深い意味がありました。怒りや悲しみや憤り、感情の爆発です。そして、それを第三者に聞かれてもどうでもいいくらいにemotionalなんですね。
こういった微妙なニュアンスを学べるのが海外ドラマで英語を勉強する利点の一つなんですよ。やり方は簡単。字幕の設定を英語にするだけです。それでは〜
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