日本語の「コピペ」

コピペ」の元となった「コピー」と「ペースト」はコンピュータ上の各種編集ソフトで使われる機能で、元のデータをコピーしクリップボードに保存し、それと全く同じものを別の場所に貼り付けるものですね。

Kritaの編集メニュー
Kritaの編集メニュー

「コピー」以外にも「カット」という機能もあって、それは元のデータを編集ソフト上から消去する違いがあります。

でも、日本語では既に「コピーペースト」が主流となっていて、デジタル的に何かを複製する時は略して「コピペ」と呼ばることが多いようです。

「カット(アンド)ペースト」やその略称「カトペ」と呼ぶことは技術者的なコダワリ以外ではあまりない気がします。これはコピーとカットの機能差とか関係なく、「コピペ」が言葉として一般化されてしまったってことなのかもしれません。

英語での「Cut and Paste」

ところが、これが英語では逆の状況のようなのです。

例えば、以下はアメリカで戦後の郊外に紋切り型の集合住宅地ができていったことを書いた記事ですが、「Cut-and-Paste Suburb」と「カット・アンド・ペースト」が使われていますね。日本人からすると、「カット」してしまうとオリジナルの情報が消えてしまうのでちょっとおかしい気がしますが英語ではそうなのです。

この点について、オンライン辞書の「cut and paste」の項目では次のように補足が書いてあります:

cut and paste

Usage notes(使用上の注意)

In computing sense, often used instead of “copy and paste” even when the original data is not deleted

コンピュータ関連の意味では、元のデータが削除されないときでもしばしば「コピー・アンド・ペースト」の代わりに使われる

つまり、日本語と全く正反対の状況になっているのでした。

  • 日本語・・・元のデータが消えるかどうかに関わらず「コピペ」
  • 英語・・・元のデータが消えるかどうかに関わらず「Cut and Paste」

なんなんでしょう、この違い?

英語で「Cut and Paste」が好まれるわけ

同じような疑問を持つ人が世界にはいて、English Stackexchangeで質問をしていますね:

Why do people say “Cut and paste” instead of “Copy and paste”?

With this obvious difference between “cutting” and “copying”, why do people still refer to it as “cutting and pasting” over “copying and pasting”?

この質問への回答を見ると、英語ではコンピュータの登場以前から「Cut and paste」という言い方が出版の編集現場でされていたということですね。

Wikipediaにより詳しく書いてありました:

Cut, copy, and paste

Origins(語源)

The term “cut and paste” comes from the traditional practice in manuscript-editings whereby people would cut paragraphs from a page with scissors and paste them onto another page.

「カットアンドペースト」という用語は原稿編集の伝統的実務から来ている、そこで人々は段落をページからハサミで切って、他のページに貼り付けていた

ということで、コンピュータの無い時代、本の編集者は段落を物理的にハサミで切って(カット)、それを別のページに物理的に貼り付けて(ペースト)、本を編集していたのです。

つまり、カットアンドペーストは本当に切って、本当に貼り付けていたんですよ(笑)

そして、当然、コピー(copy)なんてことは出来なかったのですね、だって、紙上のデータはデジタルではないのだから増やせません。

逆に考えれば、このような伝統的な編集実務があったから、コンピュータ上での編集アプリの機能も「カット」や「ペースト」と命名されたわけですね。そして歴史的には、「コピー」はデジタル化で初めて可能になった機能なのでした。

最後に

ということで、今回は日本語の「コピペ」と英語の「Cut and Paste」の違いについて見てみました。英語の「Cut and Paste」は伝統的な編集業務から来ている由緒正しいものなのでした。

ところで、日本語で「カトペ」と呼ばれないのはどうしてなんでしょうかね? 「コピペ」の方が語感が良いとかありそうですが、調べてみると面白そうです。このブログは英語ブログなので、そこまで立ち入りませんけど・・・。それでは〜