「With a Grain of Salt」の意味

今回見ていくイディオムは「with a grain of salt」。saltはもちろん「塩」のことですね。そして、grainは「粒」のこと。つまり、そのまま訳せば「塩一粒と共に」です。まあ、イディオムなので、そのままの意味ではないんですね(笑) wiktionaryを見ると:

with a grain of salt

ちょっとの一般常識と懐疑を持って。動詞takeと共に用いられる。

With a little common sense and skepticism. Generally used with the verb take.

つまり、イディオム的な意味は、「そのまま額面通り受けとる(take)のではなく、一般常識と懐疑心を持って受けとる」ってこと。辞書にはよりスマートな訳「割り引いて」とありました。

例えば、誰かが、「俺は富士山を一日で2往復したことある」と言ったとします。それをwith a grain of salt で受け取るのであれば、そのまま信じるのではなく、「往復に10時間くらい? 2往復で20時間、たった4時間の睡眠だけでできるのかな・・・」と一般常識に照らし合わせて受けとるわけですね。

「With a Grain of Salt」の語源

ちなみに、何故「塩一粒と共に」がこんな意味を持ったかですが、Wikipediaに詳しい語源がありました:

Grain of salt

このフレーズの語源の仮説としてはPliny the Elder’s Naturalis Historiaが挙げられる、それはある毒の解毒剤のレシピの発見について書かれた。 その解毒剤の原料の一つは「塩一粒」だった。毒の持つ脅威は塩一粒で取り除かれ、それ故、より深刻でなくなる。

Hypotheses of the phrase’s origin include Pliny the Elder’s Naturalis Historia, regarding the discovery of a recipe for an antidote to a poison. In the antidote, one of the ingredients was a grain of salt. Threats involving the poison were thus to be taken “with a grain of salt”, and therefore less seriously.

ということで、結局、「塩一粒付きで受け取る=それほど真面目に受け取らない=割り引いて」ということみたい。日本語でも「割り引く」とあるように、語源でも「毒の脅威を塩一粒で割り引いている」と考えれば、結構日本語とニュアンスは近いと思うんだけど、どうでしょうか?

ネットで頻繁に登場

なお、このフレーズはインターネットで非常によく使われます。ネットスラングといって良いくらい。特に、誰かの主張を丸々そのまま受け取らないと言うときに。

例えば、次のredditのスレッド。コロナウィルスのワクチン開発のニュースが各国から出てきているんですけど、あまり喜びすぎないようにって警告してるんです。というのも、ワクチン開発は平均10年かかるっていうんですね。だから、with a grain of salt(割り引いて)でニュースを受け取れと言ってるのです。

Please take all vaccine news with a grain of salt, on average, vaccines take 10 years to make with a 94% failure rate.

その一方、海外ドラマではあまり使われないみたいです。数場面あったうちの『THIS IS US 36歳』のシーンを紹介しておきます。

ジャックと老医師の会話。老医師はジャックにアドバイスを与えてますが、最後に「自分はニクソンに投票したくらいだから、割り引いて受け取って」とします。ここでは、自分のアドバイスをそのまま受けとるのではなく、常識や自分のシチュエーションに照らして咀嚼しろってことですね。この爺さん(レモンをレモネードへでも有名)がなかなかいい味出してるんですよね、このドラマ。

老医師: I voted for Nixon, so you got to take everything I say with a grain of salt.
『THIS IS US 36歳、これから』で、老医師は自分の意見をそのまま受け取らないようにジャックに伝える
This Is Us [Credit: NBC]

最後に

ということで、今回はイディオム「with a grain of salt」の紹介でした。

ちなみに、私は英語の専門家でもなんでもないただの海外ドラマを英語字幕でたくさん見てる人なだけなので、このブログの記事も「with a grain of salt」で受け取ってくださいね。たまに間違うこともあるので(笑) それでは〜