「フルスクラッチ」の不思議

日本語の語彙に「フルスクラッチ」というのがあります。意味は「ソフトウェア開発等で、既製製品を使わずに一から作り上げること」。

今日この用語を聞いた時に、そう言えば英語では「full scratch」って聞いたことが無いなと感じたんです。

海外ドラマの字幕を「full scratch」で調べても、物の見事に0件、全く使われていません。俄然日本語の「フルスクラッチ」の出どころが気になり始めました。まあ、英語を少々嗜んでいるので、「一から作り上げる」という意味から、あるイディオムがピンとは来ましたけどね。

日本語「フルスクラッチ」の語源

そこで、色々検索すると、どうも英語の「Scratch building(スクラッチビルド)」から来ているのが分かります:

Scratch building

スクラッチビルディングは「一から(from scratch)」模型を製造する過程のことだ、すなわち、既製キットや半組み立て品からではなく、原材料から作り上げる。

Scratch building is the process of building a scale model “from scratch”, i.e. from raw materials, rather than building it from a commercial kit, kitbashing or buying it pre-assembled.
フルスクラッチで一から作った船の模型
Image by ptra from Pixabay

ということで、英語のイディオム「from scratch」から来ていることに。まあ、大方予想通りだった方も居られるかもしれませんね。

確かに、検索すると、模型に対してもフルスクラッチが使われていますね:

IBM 1401のミニチュアをフルスクラッチで製作公開〜ガチャ向きアイテム⤴️

日本語「フルスクラッチ」の来歴まとめ

英語イディオム「from scratch」の語源の詳細は上のリンク先を見てもらうとして、結局まとめると、

「引っ掻く」を意味する英語の「scratch」
競走で地面に引っ掻き線を引いたところから
スタートラインの「scratch」
「一から」を意味するイディオム「from scratch」
模型製作の手法で
原材料から作る「scratch building」
日本語に輸入「スクラッチビルド」
本当に全部一からを指す
「フルスクラッチビルド」に発展
「フルスクラッチ」と簡略化され
模型以外のソフトウェア開発等分野にも広がる

ということみたいですね。

この中で面白いのは、英語の「from scratch」時点で既に「一から」の意味が含まれているのにも関わらず、日本語に輸入された後わざわざ「フル」を付けて、「スクラッチ」が更に強調される用法が出た点でしょうか?(笑)

まあ、結局「フルスクラッチ」は和製英語で、英語だとイディオムの「from scratch」ってこと。だったら最初から「from scratch」で良い気もしますがね。フロムスクラッチ。ちょっと違うだけじゃん。

それでは〜