「Get/Miss the Memo」の意味

今回は英語っぽいイディオム「get/miss the memo」について見ていきます。ここでmemoはmemorandumの略で、意味は「社内で情報共有のため回される回覧板・連絡票」のこと。つまり、社内で何か情報共有する時に総務担当なんかが部署全員に回す回覧板のことなんです。今の時代はデジタルに情報共有できますので、近い将来廃れていくのでしょうが、今でもデジタル化されない情報はmemorandumで回ってくることもあるはず。

さて、そのmemoをgetするということは、あなたのもとに回覧板が回ってきたということですね。つまり、みんなが知っている情報を知っているってことですね。一方、そのmemoをmissするってことは、みんなが知ってる情報をあなただけが知らないってこと。

get the memo

(話し言葉、通常否定で)現在の状況を知っている。

(informal, often in the negative) To be aware of the current state of affairs.

miss the memo

(話し言葉)現在の状況を知らない。

(informal) To be unaware of the current state of affairs.

だから、海外ドラマ・日常会話では、全員が知ってるべき情報を特定キャラだけ知らない場合に

どうやら回覧板が回ってこなかったようだな

あれ?回覧板回ってこなかった?

といった感じで、おどけたり、皮肉ったりすることがあります。そのため、相手が情報を知らない場合によく使われます。

海外ドラマでの「Get/Miss the Memo」の例

ま、使われ方は実際の海外ドラマのシーンを見れば一目瞭然ですね。

ウォーキング・デッド

束の間の平和のシーン。子供が川で水遊び、女性陣は洗濯です。キャロルは「なんで女性がハティ・マクダニエルの仕事をしないといけないんだ?」と愚痴ります。ハティ・マクダニエルは『風と共に去りぬ』でメイド役スカーレットを演じた役者。それにエイミーは「世界は終わったのよ、回覧板来なかった?」と精一杯ジョークを飛ばします。つまり、世界が終わって原始時代さながらの生活に戻ったってこと。

キャロル: Can someone explain to me how the women wound up doing all the Hattie McDaniel work?
エイミー: The world ended. Didn’t you get the memo?
『ウォーキング・デッド』で、女性陣は洗濯しながら会話
The Walking Dead [Credit: AMC]

ギルモア・ガールズ

元夫のクリストファーは娘へのプレゼントを買うのに母ローレライの承認を得ようとします。ローレライは、「いちいち確認する必要はない」としてから「Didn’t you get the memo?」です。クリストファーも「机の上が散らかってるから」とジョークで返します(笑)

ローレライ: Chris, honey, we’re way past the point where you have to get my permission to buy your own daughter a gift. Didn’t you get the memo?
クリストファー: Well, you know what a mess my desk is.
『ギルモア・ガールズ』で、クリストファーはローリーにプレゼントを買うことをローレライに相談
Gilmore Girls [Credit: The WB]

SUITS/スーツ

『SUITS/スーツ』からは「miss the memo」のパターン。

マイクがハーヴィーに反論すると、「Maybe you missed the memo」と、決定は覆らないことを示します。ここは、実際に回覧板が回ったわけではないですね。知ってるべき情報をマイクだけが知らなかったと暗に言ってるのです。

Maybe you missed the memo.
『SUITS/スーツ』で、ハーヴィーとマイクは口論に
Suits [Credit: USA Network]

最後に

今回は「get/miss the memo」というイディオムを紹介しました。回覧板を見逃した状況から「みんなが知ってるべき情報を知ってない」時に使われます。

こういったイディオムもmemoを回す文化がなくなれば廃れていと思うと、少し悲しい気がしてきますね。それでは〜