ディストピア社会『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の感想
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『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語(The Handmaid’s Tale)』は今年のエミー賞の話題をさらった海外ドラマ。実際ある小説を映像化しているのだけど、何か時期がピッタシハマってスパークした感じです。これがどういう意味か説明するのには本編ストーリーを少し話す必要があります。スポイラーなネタバレは極力避けるので多分読んでも大丈夫なはずです。でも気になる人は読み進めないほうがいいかもしれません。
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のあらすじ
物語の舞台は近未来のアメリカ。いろいろな影響で子供の死産率が極度に高くなった世界。国力の衰えは待ったが効かず、ただゆっくり死に行くのを見守る人類に思えたんだけど、キリスト教をベースとしたカルトが新興を極めつつもあった。その思想は、妻が産めなければ健康なメイドに産ませればいいじゃないという旧約聖書ヤコブの逸話をベースにした女性の人権何それ?と全く気にしないもの。当時の人々は弱小カルトのナンセンスと一蹴して、自分の問題とは全く考えていなかったんだけど、この組織は地下で着実に勢力を伸ばして行って、ついには政治の表舞台にまで進出してしまう。ナチス・ドイツを想起させるよね。そして、立法権をふんだんに行使して、自分たちの主義主張を水面下でジワジワ実行していくの。例えば、職場などから女性はだんだんと排除されていき、気づいた時には銀行口座さえ持つのも禁止、読書も禁止。今まで女性が当然だと思っていた様々な生得権利が剥奪されてようやく人々は何が裏で進行しているのか理解し始めるんだけど、もちろんその時には時既にお寿司🍣。遂にはアメリカ内部で内戦が勃発し、このカルトが米国の一部地域に独立国家を樹立してしまうんだ。
そんな状況下、カナダへの出国へ一縷の望みをかける主人公一家は、アメリカ・カナダ国境で追手に襲われ、妻は身柄を確保されてしまい家族は離れ離れ。ヒロインの妻はカルトに再教育を施され、教団エリート幹部の家へメイドとして配属される。そこでの職務は家事手伝い(メイド)以外にもう一つあったのだが・・・
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の感想
はい、トランプ政権強権下でミソジニー・女性軽視の発言もある政治情勢下でこのストーリーですから、アメリカでのこの人気は時流にマッチしたとしか言えませんね。はっきり言って世の女性は絶対見たほうがいいドラマです。自分は『ギルモア・ガールズ』のローリーの中の人アレクシス・ブレデル(Alexis Bledel)が出演してたんで期待せずチェックしたんですが、男の自分でもディストピアっぷりがかなり恐怖。というか、胸糞悪すぎ。この世界、ハンドメイドは家畜とかそんな扱いですね。単なる「インキュベータ(incubator)」なんです(キュウベイではなく・・・)。
ちなみに、原作の小説の方もKindleのサンプルを落として読めるところまで読んでみましたが、最初にお気楽日本人旅行者がステレオタイプで出てくるので面白かったです。
英語に関しても、この教団内では奇妙な挨拶が頻発します:
Praised be.
Under His eye.
Blessed be the fruit.
これがあいさつ「こんにちは、さようなら」の代わりです。さすがカルト。フルーツは実りがあるようにと、子供を生むことを意味していますね。そんなことをあいさつで言う社会ってどんだけおかしいんだ。 少しだけだけど浦沢直樹の『20世紀少年』っぽくも感じました。読んだことある人は分かるはず。壁に吊るされる人々とかね。
個人的には現在のIMDbの★8.7は少し過剰評価(overrated)の気もします。
シーズン1の終わりはきれいなクリフハンガー。シーズン2が待ち遠しいですね。
次シーズンを待つ間小説に挑戦も一興かもしれません。サンプル読んだ感じ、英語はそこまで難しく感じなかったけれど、TOEIC800は必要かな。それでは〜
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