「Deal Breaker」の意味は「合意を台無しにするもの、約束が違う」
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deal breaker はdeal(取り決め)をbreak(破る)もの。つまり、事前に決めていたことを後から覆すことですね。簡単に言えば、約束が違うじゃん、ということ。ただし名詞形なので、It's a deal breakerと名詞して使います。これも頻繁に聞く表現ですね。ビジネスシーンなどで多く出てくる印象です。早速海外ドラマ内での使われ方を見ていきます。
『ブレイキング・バッド』のテッド
妊娠中にも関わらず働く事を決めたスカイラーは、元働いていたテッドの会社で経理として働き始めます。その初日が次のシーン。スカイラーのオフィスにテッドが立ち寄ります。空いていたオフィスはトイレの横のものしかなかった感じですが、スカイラーは妊娠中だからよたよた歩かなくて便利と一応気遣います。テッドはトイレの横じゃ悪いと思ってたので、deal breakerかと思ってたと正直に述べます。スカイも同意のYeahと本心では嫌なことを否定しません。この場面はすごい微妙なニュアンスですが、スカイラーはトイレの横は嫌なんですね。だって、いきなりトイレに近くて助かるわなんて言い出すのはおかしいですから。でも残念なことにこのシーンに日本語字幕は「それは外せないだろう」と意味不明なもの。
スカイラー: Oh, hey, Ted. Come on in.
テッド: Looks like they got you all set up.
スカイラー: Yeah. It's perfect. I am close enough to the bathroom that I don't have to waddle far. And that's very nice.
テッド: I figured that might be a deal-breaker.
スカイラー: Yeah.
Breaking Bad/Season 2/Episode 7
『THIS IS US 36歳、これから』のジャック
いつものバーで飲むジャックとミゲル。ジャックはレベッカが子供を持つのは人生の終わりと考えていることを悩んでいます。ミゲルは同意し、こうやって美味しい酒も飲めなくなると続けます。しかし、レベッカが生活が豊かになっても子供を持ちたくないのであれば、それって約束が違うってことだよねと酔いながら自問します。家庭を持たないのであれば、結婚ってなんなのさ、って感じですね。
ジャック: Rebecca thinks that if we have kids, our lives are gonna be over.
ミゲル: She's right, pal. Yeah. She's totally right. You can kiss this life good-bye.
ジャック: What if she doesn't want kids? Is that really like a, like a deal-breaker?
This Is Us/Season 1/Episode 5
『ビッグバン★セオリー』のレズリー
長めの引用です。レナードと付き合っているレズリーは、シェルドンと双方の物理理論で口論になります。レズリーはLoop quantum gravity派、対してシェルドンはstring theory派。彼女はボーイフレンドのレナードに援護するよう求めますが、レナードもstring theoryを支持します。これにレズリーは約束が違う、deal breakerだとカチンと来ます。子供にどちらの理論を教えるのか? レナードは子供自身に選ばせればと説得しますが、レズリーは小さい子供なんだから選べるわけがないと言い、子供が乳製品食べられなくなるのは受け入れられても(レナードからの遺伝で)、これは無理と出ていってしまいます。討論の議題は物理理論ですが、宗教と思えば一般家庭でもあり得るシチュエーションです。なお、loopyに変の意味があるのを考えると二重に可笑しいセリフ。
レズリー: You agree with me, right? Loop quantum gravity is the future of physics.
レナード: Sorry, Leslie, I guess I prefer my space stringy, not loopy.
レズリー: I'm glad I found out the truth about you before this went any further.
レナード: Truth? What truth? We're talking about untested hypothes. It's no big deal.
レズリー: It isn't? Really? Tell me, how will we raise the children?
レナード: I guess we wait until they're old enough and let them choose their own theory.
レズリー: We can't let them choose. They're children!
レナード: Where are you going?
レズリー: I'm sorry. I could have accepted our kids being genetically unable to eat ice cream or ever get a good view of a parade. But this? This is a deal breaker.
The Big Bang Theory/Season 2/Episode 2
最後に
今回紹介したシーンはいずれもビジネスとは関係ないので、事前に合意した書類も何もありません。口約束すらありません。あるのは恋人同士なら、結婚したらのなら、そうあるべきと言う暗黙の了解だったり慣習。でも実際何も話し合いもしていないのに、『ビッグバン★セオリー』のレズリーのように、一人合点していて話が違ったら勝手にdeal breakerと決めつけちゃうのはどうなんでしょうか? いずれにせよ、「それって約束が違うじゃん」と思える場面にピッタシの表現です。
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