if that makes me a pussy,

then so be it.

Suits

「so be it」の意味

so be itは「勝手にしろ、それならそれでよい」という意味と辞書には載ってますが、渋々承諾してるのか、投げやりになっているのか、諦めなのか、文字だけからだとちょっと分かりませんね。

ということで、この表現が使われる海外ドラマのシーンを詳しく見ることで、どんな感情がこの表現の背後にあるのか確認したいと思います。

『ブレイキング・バッド』から

ウォルターと妻スカイラーの会話から。夫のウォルターに癌が見つかったスカイラーは、著名な医者に診てもらうことにします。その料金が5,000ドルと聞いて(しかも初期費用だけで)、安月給の高校教師のウォルターは、何でそんなに高いのか知ってること全て話してくれとスカイラーに頼みます。スカイラーは、自分たちが加入してる保険(HMO)は適用されないことを伝えて、「so be it」です。つまり、たとえ高価でもそれならそれで良い、というポジティブな感情ですね。「夫の病気の治癒 > 治療費」という不等号。so be itで治療費への関心の低さが出ています。

ウォルター: Five thousand? Jesus. What’s that, just to start? I mean, just to tell me what I already know?
スカイラー: Walt, he’s not in our HMO, okay? So be it, we’ll figure it out.
『ブレイキング・バッド』で、ウォルターとスカイラー夫妻は癌の治療費が保険でカバーされないことを議論
Breaking Bad [Credit: AMC]

『glee/グリー』から

Gleeクラブを潰そうとする前顧問サンディは現顧問のウィルとの対決姿勢を隠そうとしません。サンディの最後通牒が次のセリフ「フェアプレーをしてあげてたんだけど、君は敵対が好きみたいだね、ウィル。それならそれで良いだろう」。 最後に「クックック」と高笑いを付ければ典型的な悪役ですね(笑) 悪役が「私に歯向かうつもりか。それならそれでよかろう。せいぜい頑張って修行するんだな」と言う時の「それならそれでよい」のニュアンスが、この例のso be itです。どうせ自分の方が力が上だから簡単にやっつけられるしー、と見くびって、主人公に逆にやられるのが王道。

サンディ: I tried to play nice with you, William. But clearly, you prefer to be adversaries. So be it.
『glee/グリー』でウィルとサンディがグリークラブを巡って対立
Glee [Credit: Fox]

『ゲーム・オブ・スローンズ』から

『ゲーム・オブ・スローンズ』のセリフからは、ネッド・スタークの子供アリアとそのペットのダイアーウルフが、王子ジョフリーを襲った後の場面から。双方の子供に罰を与えることで決着かと思われましたが、王妃のサーセイはダイアーウルフの処分を忘れてると付け加えます。逃げたと聞いた王様は「so be it」とそれなら仕方ないと捨てておこうとしますが、王妃はスターク家には別のダイアーウルフが居ると示唆します・・・。この場面は発言者が王様だけに「捨てておけい」というのがピッタシの訳ですね。

家臣: We found no trace of the direwolf, your Grace.
ロバート王: No? So be it.
サーセイ: We have another wolf.
『ゲーム・オブ・スローンズ』で、ロバート王は王子を襲った狼が逃げたことを捨てておけと不問にするが・・・
Game of Thrones [Credit: HBO]

『HOMELAND』から

イランに侵入したCIA工作員キャリーは、敵地でのブロディを救う活動を活発化。上司ソールは、「君が捕まったらCIAは君に関する情報を全て否定する」と救いの手を伸ばせないことを伝えます。そして、キャリーは一言「So be it」。「それならそれでいい」というわけですね。もっと重要なことがあるんです。

ソール: We will be forced to deny all knowledge of you. There will be no negotiating your release.
キャリー: So be it.
『HOMELAND』で、キャリーの実の安全を保証できないとするソールに「so be it」と返すキャリー
Homeland [Credit: Showtime]

最後に

結局まとめると、一般的に「so be it」は関心の低さを表しているのですね。直前に話されたことはそのままでよいというわけです。

だから殿様の「捨てておけい」や悪役の「クックック、それならそれでよい」に使われるわけです。だって、殿様も悪役も、そんな小さいことに構わない人種だから(笑)

また、関心の低さは、他に関心の高いものがあることも示唆します。今回紹介した例だと、『ブレイキング・バッド』や『HOMELAND』がそうですね。夫の健康の方が大事、ブロディの命が大事なので、それに付随するマイナス要素(医療費、自分の命)がso be itになるんです。

ということは、「勝手にしろ」という訳はある意味正解ですね。関心の少なさを示しています。ただし、コンテキストによっては違う訳のほうが適していることも考えられますので、そこは臨機応変に訳したいもの。

それでは〜