テレビ業界のイディオム「Jump the Shark」

IMdbなんかで海外ドラマレビューを読んでるとよく出てくるイディオム「jumping the shark」が語源も含め面白かったので紹介。

テレビ番組を長期続けてるとマンネリ化してくることは避けられない。そうなると、新しい視聴者は増えず、視聴率等の各種指標は頭打ち状態。製作者側はなんとかしなくてはとテコ入れを行うのが世の常。そしてそれは、主要キャラに隠し子が見つかったり、急に末期がんで余命数ヶ月になったり、ドラマ上予想外の2人が急接近したり(ファンサービスで、女性キャラがレズったり)、新たな敵が宇宙から現れ主人公達と対峙するという悪あがきで通常表現される。しかし、そういった近視眼的付け焼刃な対策は功を奏することもなく、残っていた既存ファンの怒りを逆に買い、皮肉にも数字の急降下に貢献してしまう。そういう状況を英語で「jumping the shark」というのだそう。これは下のグラフでの説明がわかりやすい。

jumping the sharkの図示
テレビ番組がjumping the sharkするグラフ(TV Tropes)

番組開始と共にファンベースは順調に増加していくけど、シーズンを重ねるとそれがどうしても鈍化してしまう。そこで制作陣が試みた起死回生のテコ入れがjumping the sharkするポイント。

だから、つまり、イディオム「jump the shark」は番組がそういった失敗みえみえの挽回策を講じることを指すんですね:

jump the shark

(イディオム的、テレビ番組や他の物語)根本的なそして一般に失望に繋がる変化の前触れとなるストーリー展開を遂げること。

(idiomatic, of a television program or other narrative) To undergo a storyline development which heralds a fundamental and generally disappointing change in direction.

「Jump the Shark」は何故「鮫」? その語源とは?

それでは、最後に残った疑問「何故サメなのか? そしてジャンプなのか?」について。

こちらも上記Wiktionaryに書いてありますね:

jump the shark

語源

テレビ番組『Happy Days』の1977年のエピソード『Hollywood (Part 3)』から。この中で、キャラのフロンズィーが鮫の上を水上スキーで飛び越える、その後、番組は元々の形式との類似性は無くなった。

Etymology

From “Hollywood (Part 3)”, a 1977 episode of the TV series Happy Days, in which the character Fonzie jumped over a shark on waterskis, after which (supposedly) the show bore no similarity to its original form.

つまり、シットコムHappy Daysで、主要キャラの1人が実際水上スキーでサメの上を跳び越えるシーンから来ているのだとか。このシーン以降この番組が凋落の一途をたどることになるとは、クリエイターは考えもしなかったことでしょうね。

YouTubeに該当場面の動画があったけど(↓↓)、ものすごくツマラナイので、見られないことをオススメします。

なんでも、元々このキャラは初期エピソードでバイクのスタントで事故って大怪我を負ったんだそう。それで、もう無謀なことはしないとドラマのストーリー上誓っていたのにもかかわらず、サメジャンプですよ。しかも、トレードマークの革ジャン着て水上スキー(笑) 視聴者に呆れられたのだとか。

『コミ・カレ!!』での「Jump the Shark」

こんな表現はテレビ番組の批評でしか使われないかと思いきや、シットコムでメタ的?にも使われるようですね。

以下は『コミ・カレ!!』でのアベッドとトロイの会話。2人が一緒に住むことは「jump the shark」するようなもの。これは意味知らないと絶対わからない(笑)

If you and I move in, we jump the shark.
『コミ・カレ!!』で、アベッド
Community [Credit: NBC]

最後に

今回は海外ドラマのレビューを英語で見ていると時々出てくるイディオム「jump the shark」の意味と語源の紹介でした。テレビ番組『Happy Days』の鮫の上を飛んだ実際のエピソードから来ているのでした。

日常会話ではあまり出番はなさそうな表現ですけど、業績を伸ばすために会社がありえない方策に打って出たら、それはjump the sharkと言っていいのかもしれませんね。

いずれにせよ、当ブログはjump the sharkしないで行きたいものです(←これがやりたかったw)

(追記)

MOJO.comのjump the sharkした番組集↓


『コブラ会』のサメ↓