「推定無罪」って英語で何?

推定無罪って英語でなんと言うのだろうかと気になって調べていたんです。一応辞書には、

the presumption of innocence

ウィズダム英和辞典

とは載っているんですけど、こんな表現、海外ドラマで聞いたこと無いんですね。弁護士モノ、裁判モノのドラマは結構見ているはずなんですけど、決まって海外ドラマの登場人物はこう言うんです:

ベター・コール・ソウル

Uh, excuse me, innocent until proven guilty?
『ベター・コール・ソウル』で、キムはケトルマン夫妻は推定無罪という
Better Call Saul [Credit: AMC]

SUITS/スーツ

You’re innocent until proven guilty beyond a reasonable doubt.
『SUITS/スーツ』で、推定無罪を「innocent until proven guilty」で言う
Suits [Credit: USA Network]

名探偵モンク

You’re right. She’s innocent until proven guilty.
『名探偵モンク』で、シャローナの身内の容疑者をinnocent until proven guiltyと言う
Monk [Credit: USA Network]

海外ドラマでは「

Innocent Until Proven Guilty」一択

どれもこれも「innocent until proven guilty」ばかり。直訳すれば「有罪が証明されるまでは無罪」。そのまんまですね。

というか、よく見れば、presumption of innocenceって訳すと「無罪の推定」じゃないですか(笑) 日本語の推定無罪と順番逆じゃん。ミルクチョコとチョコミルクくらいの違いがあるのでは・・・

そこで、困った時のWikipediaです:

Presumption of innocence

The presumption of innocence is the legal principle that one is considered innocent unless proven guilty.

なんとWikipediaにはpresumption of innocenceの方が載っていました。どうも、法原理ではこちらの言い方が正式みたい。

そして、スクロールしていくと・・・

“Presumption of innocence” serves to emphasize that the prosecution has the obligation to prove each element of the offense beyond a reasonable doubt (or some other level of proof depending on the criminal justice system) and that the accused bears no burden of proof. This is often expressed in the phrase “innocent until proven guilty”, coined by the British barrister Sir William Garrow

とありました。つまり、presumption of innocenceって言い方が分かりづらいから、平易に言い換えたinnocent until proven guiltyが流通するようになった感じかな。

英語での「推定無罪」まとめ

だから、まとめると

  • presumption of innocence・・・法律専門家
  • innocent until proven guilty・・・一般大衆

って分類かな。でも、海外ドラマのキャラ達だって弁護士や検察なんだから、一応は法律の専門家。なのに「innocent until proven guilty」の方を使うってことは・・・脚本家の知識不足? でも、本物の法律エキスパートが出来上がった脚本チェックしてるんだろうし・・・。でも、視聴者はpresumption of innocenceという耳慣れない表現を聞くより分かりやすいinnocent until proven guiltyを好むだろうから・・・。と考えていたら堂々巡り(go around in circles)してしまいました(笑)

(追記)『殺人者への道』の例

海外ドラマでは「innocent until proven guilty」一択というか、そもそも「presumption of innocence」という言い回しが出てこないんですが、後日「presumption of innocence」が頻出する番組を見つけました。それが、ドキュメンタリー『殺人者への道』。これは現実の殺人事件を扱っているため、著名な法律家や実際の法廷シーンが出てくるんですが、その中で「presumption of innocence」が使われます。ということで、やはりpresumption of innocenceは専門的な用語というのは合ってそうです。

And the strong current against which the State is supposed to be swimming is a presumption of innocence.
『殺人者への道』で、実際の法廷シーンで推定無罪を訴える弁護側
Making a Murderer [Credit: Netflix]

「推定無罪」:Googleの件数で勝負

そこで、頼みの綱Googleさんに判定してもらいましょう。検索結果の件数で勝負です。

  • presumption of innocence・・・About 6,520,000 results
  • innocent until proven guilty・・・About 21,600,000 results

3倍の差で「innocent until proven guilty」の圧勝。だから、「推定無罪」を専門的でない場面で使う時は「innocent until proven guilty」で良さそうです

日本語「推定無罪」と英語「presumption of innocence」の語順

ちなみに、「推定無罪」と「presumption of innocence」の順が逆になっている原因は、日本語Wikipediaの記事に載ってました:

推定無罪

「無罪の推定」という表現が本来の趣旨に忠実であり(presumption of innocence)、刑事訴訟法学ではこちらの表現が使われるが、近時、マスコミその他により、推定無罪と呼ばれるようになった。[要出典]

なんと、日本語の「推定無罪」が間違っているのでした(笑) 確かに、推定無罪って、考えてみると意味がよく分からないかな。まあ、要出典ですので、信じるかどうかはご自身で判断を。

最後に、Google Books Ngram Viewerで書籍の情報を調査すると・・・え? 逆にこっちはpresumption of innocenceが2倍の差

うーん、なんだかよくわかりませんね(笑) 結論がなくて申し訳ないけど、自分が使うんだったら海外ドラマで使われているinnocent until proven guiltyかなあ。実際、CNNなんかのニュースでも使われているしね。

あ、そうだ、せっかくだから言語の専門家A Way with Words⤴️で聞けばいいのかも(笑) 日本人として初出演あるなw それでは〜