ジブリの太っ腹

皆さんは、スタジオジブリが“常識の範囲で”自由に使える画像を無償で提供してくれていることをご存知でしょうか?

これすごくない? 太っ腹過ぎますよね。他のスタジオでも同じようなことをやって頂けたら、個人的に嬉しいのですけど。まあ、当ブログでは海外ドラマがターゲットなので、あまり関係ありませんけど。

「ほうきに乗った魔女」の方程式

このニュースを知った時から、せっかくだからそんなジブリ作品の画像をお借りして何か記事を書きたいなと思っていましたが、今回丁度いいテーマを見つけました。それが、

なぜ魔女は「ほうき」に乗っているのか?

です。そのまんまやん(笑)

映画・テレビ番組で方程式の例

『魔女の宅急便』でのキキが、まさにそうでしたよね。

『魔女の宅急便』で、キキはほうきで大空を飛ぶ
Kiki's Delivery Service [Credit: Studio Ghibli]

他にも、名作海外ドラマ『奥さまは魔女』のオープニングでもちゃんと乗ってますね。なお、『奥さまは魔女』の原題は『Bewitched』で「魅了された」の意味があります。

『奥さまは魔女』のオープニングで、魔女がほうきに乗る
Bewitched [Credit: ABC]

でも本当に、この「ほうきに乗った魔女」という方程式は、いろいろなところで見かけますよね。「なぜ、ほうき?」というのは素朴な疑問です。魔女がきれい好きを表しているんしょうか? 手近で乗れそうなオブジェクトが「ほうき」だったのでしょうか? それとも、何か「ほうき」である必然性があるんでしょうか?

それを今回調べたら、これがめちゃくちゃ面白かったのですよ。

テレビお約束集サイトに「空飛ぶほうき」の記事

まず、こういった場合最初にあたるのは、 テレビのお約束集を集めたサイトTV Tropes⤴️です。そこの、「Flying Broomstick(空飛ぶほうき)」という記事が、まさに求めるものでした。以下、抜粋を訳出しています:

Flying Broomstick

ほうきというのは古典的魔女作品(と、多くの現代作品)で伝統的な空飛ぶ乗り物である。Wikipediaによると、ほうきに乗る魔女というアイデアは少なくとも1453年に遡る。原本の木版画では、ほうきの頭、ブラシの部分を前にして乗っている。これは十分理にかなっている。というのも、元々の魔女のほうきというものは、一端に男根を彫り込んだ杖だったからだ。そして、ブラシ部分はしばしば偽装のため付けられたのだ。今日では、頻繁にほうきの頭(ブラシ部分)を後ろにして乗る描写がされる。これは、空気力学的な演出のためにされる(排気管やジェットエンジンと同じように)。

Brooms are the traditional flying mount of the Witch Classic (and many a contemporary). According to The Other Wiki the idea of witches riding on brooms goes back to at least 1453. In the original woodcuts, they’ve got the head or brush part in front, logical enough since the original witch’s broom was a staff with a carved phallic end and the brush was tied on as a disguise. Today’s depictions most often put the head in the back, for sake of an aerodynamic appearance (and for similarity with an exhaust pipe or jet engine).

ということで、なんと元は「」だったのですね。魔女ってほとんど杖を持ってますから、これは100%納得です。しかれども、杖の先の彫刻が男根という18禁であるがため、その上にブラシを覆って自主規制してたんです・・・って、

お前はどこの秘宝館だよ!(笑)

そして、元々は杖の頭(ブラシ)部分を前にして乗っていたのだとか。まあ、ほうきでなく杖であるならば、手で握る方、装飾が施されている方が先頭なのは正しいですね。誰も先細っていく方を前にはしないはず。これはゴヤが描いた『サバスに向かう魔女達』の作品でもそうなっていますね。ブラシの部分が小さすぎて、ほうきというよりも、汚れをこそぎ落とすたわしとして使われそうですけど(笑) ま、結局は自主規制のためなので、本来のほうきとしての機能を有しているかは疑問ですが。

画家フランシスコ・デ・ゴヤが描いたサバスに向かう魔女達
Francisco Goya's Los Caprichos

そして近代になり、速度を出す映像上の演出のため、ほうき部分を後ろにして乗るようになったということです。風になびかせれば疾走感を感じられますからね。

「ほうきに乗った魔女」の方程式の温故知新

さて、ここからは、そんな「ほうき🧹」に乗った魔女が出てくる作品を『魔女の宅急便』以外で見ていきたいのですが、Wikipediaに興味深い情報が載ってました:

Broom: Magic

魔術

メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの1939年映画『オズの魔法使い』の中で、西の悪い魔女はオズ上空を飛ぶのにほうきを使った。

Magic

In Metro-Goldwyn-Mayer’s 1939 film, The Wizard of Oz, the Wicked Witch of the West used a broomstick to fly over Oz.

なんとあの名作映画『オズの魔法使い』にほうき魔女が出てくるというのです。早速確かめてみると、緑顔で強烈な印象の魔女が乗ってますね:

『オズの魔法使い』で、西の悪い魔女は「ほうき」に乗り、オズ上空を飛ぶ
The Wizard of Oz [Credit: Metro-Goldwyn-Mayer]

初出シーンのマンチキンのところで既にほうきを手にしています。と言っても、最初は「ほうき」では飛ばずに、煙幕を張って消えていく魔女なのですが・・・(ちなみに、この魔女の女優はその時大やけどを負ってます)

『オズの魔法使い』で、北の良い魔女は西の悪い魔女を追い払う
The Wizard of Oz [Credit: Metro-Goldwyn-Mayer]

一方、最新アニメの『ウィザード: アルカディア物語』内でも、このネタは引き継がれていました。ほうき自身に部屋を清掃させるという魔法使いならではの使い方をしています。

『ウィザード: アルカディア物語』で、ほうき自身に掃除をさせる
Wizards: Tales of Arcadia [Credit: Netflix]

最後に

ということで、以上ここまでが私が調べた「ほうきに乗った魔女」方程式の内容です。長年疑問に思っていた 「ほうき」である理由がようやく判明しました。元々は「杖」だったんですね。

いずれにせよ、これから先も、様々な作品で「ほうき」は魔女・魔法使いのお供であり続けるのでしょうね。でもさ、たまには初心に帰って「杖」に乗ってもいいんですけどね、男根さえ止めてくれれば(笑) 

それでは、また〜

(追記)

なんと、ディズニーチャンネル(プラス)で放送されている『アウルハウス(The Owl House)』が、まさにこの原点回帰でした。杖の飾りは流石に男根ではなく「フクロウ」でしたが(笑)

『アウルハウス』で、先がフクロウの装飾をした杖を持つイーダ
The Owl House [Credit: Disney Channel]

なお、空を飛ぶ時は杖のフクロウが羽を羽ばたかす魔法不要のスタイル(笑)

剣を引きずる人々・・・↓