ある日森の中くまさんに出会った

森の中を歩いていたら熊に出会うのは日本人にもおなじみの童謡ですが、実際そんな場面に遭遇したらどうしたらいいでしょうか? 当然ほとんどの人が「逃げる」と思います。「死んだふり」に賭けるのは、ものすごくリスクが高そう・・・

熊の喧嘩
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そして、この時問題となるのが、

熊より速く走れるか

ですね。だって、熊に追いつかれたら食べられてしまいますから(笑)

設定を少し変えると問題の解法が大幅に変わる?

しかしここで設定を少しばかり変えて、この時あなたは友達と一緒に居ると仮定してみましょう。友達と森をハイキングしていたら熊に遭遇するのです。一見すると状況は何も変わっていないように思えますが、実は大幅に変わるんです。そう、熊より速く走る必要はなくなるんですね。その代わり、

友達より少しでも速く走ればいいんです(笑)

一緒に走るカップル
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これって意外と盲点を突かれる気がするんですけど、いかがでしょうか? 問題の設定が変われば解法は変わることを我々は薄々知っていますが、なかなか現実世界での応用では思いつかないものなのです。

なお、問題をより俯瞰的一般的に捉えていれば、実は解法はあまり変わっていないのも分かります。

今度は複数人グループで森に入って熊と遭遇したとします。

熊は一匹しかいないのですから、結局、そのグループ内で走るのが一番遅くならなければいい(ワーストを避ける)のですね。そして、グループが自分ひとりの場合が冒頭に挙げた例なのです。つまり、この視点に立てば、実は冒頭例こそが特異なコーナーケースなのでした(笑)

これは、多分クリティカル・シンキング系の本なんかに載っているネタと思います。

海外で英語でのこの格言

ちなみに英語だと、

You don’t have to run faster than the bear, just faster than your buddy!

として有名なこの格言。

この発想ですが、海外番組ではシットコム『ビッグバン★セオリー』で似たような表現が使われています。

レナード: Do you think we can outrun him?
シェルドン: I don’t need to outrun him. I just need to outrun you.
『ビッグバン★セオリー』で、シェルドンはレナードより速く逃げる
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

学生時代のいじめっ子と再会したレナードが、大人になっても結局いじめられて、シェルドンと共に逃げるシーン。接頭辞out-は「上回る」の意味なので、outrunは相手より速く走る。つまり、ここでレナードは、二人はいじめっ子より速く走れるか=逃げ切れるか、と聞いていることになります。当然シェルドンは「熊より速く走る必要なし」の格言を知っているので、「君(レナード)より速く走ればよい」と回答して抜き去っていきます(笑)

最後に

今回の格言「熊より速く走る必要はない、ただ友達より速けりゃいいのさ」は、なかなか含蓄があると最近感銘を受けたんです。最下位にさえならなければいいというゲームをしている時には、参加者の人数が一人か否かで戦略がガラリと変わるんですね。このブログの副題じゃありませんけど、ゲームの名前をいつでも把握する必要があるのです。

ブラックベアー
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ところで、昨年の秋に単独で山に行った折、実は小熊と遭遇したんですよね。いきなり5m先の草むらから出てきて、山道を横切って行きましたけど、その時驚いたのなんの。黒いもふもふの物体が出てきたんで、最初は着ぐるみした子どもかと思ったほど(笑) それでも優に100kg以上はある感じでした。こちらが急に動いて小熊を刺激してしまうと、母熊が近くにいた場合、こちらの命がいくらあっても足りません(私は猫じゃないんで命は1つw)。そこで、その時は周囲を警戒しつつ、時が流れるのをただじっと待ったのですけどね。あの時は走って逃げようにも、どこに親熊がいるか分からないのでどちらに走っていいか分からず、本当に怖かったです。そういう意味では、熊が二匹のときはまた戦略が変わるのですね(笑)

皆さん、単独ハイキングはなるべく止めましょう。そして、 あなたより足の遅い友達と一緒に行きましょう(笑) それでは〜