茶柱のイラスト

英語の「Jinx」の意味

jinx」はすでに日本語にもなってる「ジンクス」のことですが、実は日本語のそれとはちょっと意味が違うんです。その違いは

悪い縁起にしか使われない点

だから、例えば

朝右足の靴下から履くと縁起が良いからジンクスにしてる

という使い方は英語ではされないんです。だって、これって悪いことじゃないから。 英語で「jinx」は「悪運が付く、ツキを悪くする」と言う場合のみなんです。ロールプレイングゲームで言うと、キャラの運の値が減るイベント専用。これって日本人にはかなり盲点じゃないでしょうか。

ということは、逆に考えると、

英単語「jinx」が使われる時は否定と一緒が多い

のです。だって、普通の人は悪運が付くのを嫌がりますからね。例えば、

そんなことしないで! jinxになるじゃん!

とか

jinxになるから私は○○しなかったの

という使われ方が一般的。こういう使い方を日本人でしてる人はいないんじゃないかなー。どうでしょう?

そして日本語の「ジンクス」ともう一つ異なるのが、英語の「jinx」は主に動詞で使われる点。意味は「悪運を呼ぶ」。これは動詞として使うという発想が日本人にはそもそもないので、最初はすごい違和感なんです。でも、そのうち慣れます。海外ドラマで結構出てくるからです、この「jinx」。

海外ドラマでの「Jinx」の例

そこで今回は、海外ドラマの中では「どういったことをjinxとしているのか」、その例を確認してみましょう。ちゃんと悪運になっているのでしょうか?

『フレンズ』から

ジョーイとロスはキャッチボールをしながらダベってます。気づいた時には、なんと二人は1時間の間ボールを落とさずキャッチボールし続けていたのでした。ジョーイはそのことに既に気付いていましたが、「悪運を呼ぶことはしたくなかった(I didn’t wanna jinx it)」ので、そのことへの言及は避けていたのでした。このように、jinxしたくないと否定形ですね。

ジョーイ: We haven’t dropped this ball for an hour.
ロス: Are you serious?
ジョーイ: I realized it a half-hour ago, but I didn’t say anything. I didn’t wanna jinx it.
『フレンズ』で、アパートの一室で一回も落とさずキャッチボールをし続けるジョーイとロス
Friends [Credit: NBC]

『グッド・ウィッチ』から

毎年やっていた恒例行事を変えられた市長は、自分に悪運が付いたと信じます。ここの「I’m jinxed」は受け身で使っていますね。そして、キャシーに「de-jinx」できないか尋ねます(笑) この接頭辞「de-」は「排除」の意味。debunkの語源なんかと同じです。キャシー自身は「ジンクス」を信じないようですね。

市長: I’m jinxed, Cassie. Jinxed! Do you have something to, you know, de-jinx me?
キャシー: I don’t believe in jinxes, Martha.
『グッド・ウィッチ』で、市長は悪運が付いたと信じる
Good Witch [Credit: ITV Studios]

『LOST』から

次は『LOST』の巨漢ヒューゴのフラッシュバックから。彼は宝くじが当たって、あれよあれよとお金持ちになってましたが、その間悪運に付き纏われます。それをjinxesと言ってから、cursesと言い直します。もちろん、会計士は数字しか信じないので、そんなことに耳を傾けません(笑) ここなんか初見だと、日本人からしたら驚きですよね。jinxとcurse(呪い)が同列に扱われていることに。でも、jinxの悪い縁起の意味を知った後なら納得ですね。

ヒューゴ: You don’t believe in jinxes? You know, curses?
会計士: I’m an accountant. l believe in numbers.
『LOST』で、フラッシュバックから。投資について会計士と相談するヒューゴ
Lost [Credit: ABC]

『ママと恋に落ちるまで』から

最後に、この「jinx」と切っても切り離せない「木をノック」する迷信の関係がよく出てる『ママと恋に落ちるまで』から。

マーシャルとリリーは自分たちと仲良くしてくれる結婚カップルを探しますが、なかなか見つかりません。そして、「ジンクスしたくないけど、今度こそ見つけた」と口にしたマーシャルは、直後にテーブルをノックします。リリーも自分の頭をノックしてますね(笑) つまり、悪運を払っているのです。このように、「jinxしたら木をノック」は一種のオマジナイですね。

マーシャル: We don’t want to jinx it, but We think they might be the two.
『ママと恋に落ちるまで』で、マーシャルとリリーは仲良くできる結婚カップルを見つけたことを口にして、テーブルをノックする
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

最後に

今回は日本語の「ジンクス」が持つ意味と少し異なる英語の「jinx」を見てみました。ポイントは、

jinxは悪運を呼ぶ

ってことですね。だから、基本的には否定的な文脈で使われるんです。そこさえ抑えておけば、海外ドラマ視聴は問題なさそう。

使われ方はほとんど動詞形ですが、『LOST』の例のように名詞も少しあります。あとは、相手のことを「jinx」と呼ぶパターンも何件かありました。これは「おまえは悪運をもたらす人」と言っているんですね(笑) 日本語で言うところの「雨男、雨女」みたな感じです。雨男、雨女が「ジンクス」なんてかなり意外ですけど、この記事を読んだ後なら納得感ありますよね。

そう考えると、この記事の冒頭の茶柱のイラストは相当なミスリーディングですね(笑)

それでは〜


オマジナイ「Knock on Wood」↓