海外ドラマ『ダッシュ&リリー』のポスター
Dash & Lily Poster [Credit: Netflix]

『ダッシュ&リリー』あらすじ

ネトフリからやってきた、この冬ホリデーシーズンにぴったりの恋愛ドラマ『ダッシュ&リリー』が思いの外良かったので感想です。

大きいネタバレは極力無しに努めます。

まず、舞台はニューヨーク。しかもクリスマス直前。ということで、全てのショッピングウィンドウはクリスマスカラーにデコレートされ、ロックフェラーセンターではアイススケートの光景が見られ、街角からはボランティアの聖歌隊が歌うクリスマスキャロルが流れてくる。

『ダッシュ&リリー』で、クリスマスシーズンのニューヨークに飾られるクリスマスツリー
Dash & Lily [Credit: Netflix]

そんな喧騒の街角を急ぐ一人の男がいた。それがこの物語の主人公ダッシュ。しかし、彼は街全体が浮かれる中、クリスマスに対して斜に構えた態度を取っている、一年で一番大嫌いな(detestable)時期だってね。それもそのはず、最近彼女と別れてしまったのだった。

そんな彼が、たまたま立ち寄った本屋でたまたま手にした赤いノートブック。表紙は「Do you dare…?」と読める。つまり「思い切ってする勇気があるか?」と問う挑戦状だったから大変。ここからこの物語が動いていくんだ。

『ダッシュ&リリー』で、本屋で赤いノートブックを見つけるダッシュ
Dash & Lily [Credit: Netflix]

勇気があるなら次のページをめくれと煽ってくる赤いノート。最初の挑戦は様々な本に関する謎解きだった。このダッシュは結構な本好きのようで(頭空っぽのティーンではない)、これをたやすくこなしてしまう。そして、浮かび上がったメッセージが「Are you going to be lonely on Christmas?」と、ダッシュの心の内を見透かしてるようだったから、彼は次第にこの挑戦に夢中に(hooked)なっていく。

そしてダッシュは、友達のピザ屋バイトのブーマーの助けも得て、この赤いノートを交換日記代わりに利用しながら、謎の挑戦出題者(リリー)と挑戦を出し合い始める。ニューヨークのどこどこに行って○○をしろって感じでね。出題者の彼女リリーは、ダッシュと対照的にクリスマスが大好きな元気な娘。挑戦状を通じて、ダッシュのクリスマス嫌いを治そうとするんだ。そして当然のことながら、徐々に互いに惹かれていく二人なのであった。

『ダッシュアンドリリー』で、不思議な国のアリスの銅像の前に行くダッシュ
Dash & Lily [Credit: Netflix]

さてここまで聞くと、ちょっと映画等にありがちな、かと言って現実味もないお話のように感じると思う。実は、自分もそうだった。「またこのパターンか」って感じ。少なくともエピソード1まではそうだった。

でも、エピソード1最後に、赤いノートの所有者リリーが視聴者には判明し、そして新たにデパートに向かったダッシュに何があったかという謎を視聴者に残すので、エピソード2を見なくては気になって眠れない感じに陥ってしまった(笑)

つまり、視聴者がこの『ダッシュ&リリー』にhookedになるようにうまく仕向けられているんだよね、このドラマ。サスペンス的な構成が要所要所に見受けられる(Cut Apartと言う演出手法を別の記事で追記)。そこが見事だと感じた。個人的に、ちょっと『13の理由』を思い出してしまったんだ(リリーのナレーションがハンナにダブったので)

そして、本屋に置いた赤いノートブックで挑戦を出すという一見あり得なさそうな筋書きも、エピソード2でその実際の舞台裏が明らかにされて、自分は結構納得できてしまった。リリーはハンナでは決してなかった(笑)

ところで、このドラマでは上に述べたように、挑戦と称して様々なニューヨークの名所が紹介されるんだけど、それも非常に良かったかな。なんか、ニューヨークへ旅行したかのような気分にさせてくれたんだよね。今ってコロナでなかなか旅行できないじゃん、特に海外のNYなんて。だからかな、普通に楽しめたの。

さて、こういった展開のストーリーでは、どうやって二人がリアルで出会うのかがキーポイントなんだけど、そこには当然のことながらすれ違いがあったりして、Never Meet Your Heroesな展開が待ち受けている。各自頭の中で作り上げていた理想像と現実ってやつの板挟みになるのよ、人ってものは。

そして更に、神様のいたずら(?)で、お互いにクリスマス・イブ直前に別の異性ができてしまう逆クリスマス・ミラクルも起こってしまい、ドラマ最後はかなりドタバタしてる感じがしたのは否めないかな。ここは好みが分かれるところだと思う。自分は、ちょっと忙しい感じがしてしまった。

最後は二人が結ばれるのかどうかなんだけど、バッドエンディングはないので、安心して見てもらっていいと思う。クリスマスの休暇に丁度いい、全部で2時間半程度、映画並みの長さの心温まるドラマだから。

さて、最後に個人的に引っかかったところをいくつか述べて終わります。

まず、プロットで疑問点は、餅作りにダッシュは挑戦で行かされるんだけど、皆さん、ニューヨークでmochiですよ、餅。もうさ、その時点でリリーが日系なの分かると思うんだけどね。だから、ダッシュが勘が鋭ければ、途中でリリーが誰かに気づけると思うんだけど、どうでしょう?(笑)

そうそう。餅と言えば、リリーが日系だからか、このドラマ日本ネタが結構出てきます。自分はそれがどうもダメだった。これは自分の苛つくこと(pet peeve)なんだけど、日本ネタは見ていてなんかこっちがこっ恥ずかしいんですよね。ドラマ最後の新年の場面で、厳粛な儀式として酒(?)を飲むところで、思わず顔を背けてしまった(笑) そんな事する日本人はいないよって。ラブシーンとか問題ないのに、変な日本の伝統はダメなんだから、人間って面白いものですね。

その一方、逆に良かったのは、リリーのお兄さんの存在。物語に厚みを加えてくれたかな。キャラ的にもゲイゲイっぽくない普通な感じで好感が持てた。お兄さん側のストーリーもちょっとしたアクセントになったしね。

不思議だったのが、このドラマいつ撮影したんだろうって点。舞台がニューヨークですよね。今年だったらコロナで大変な時期。背景に雪があるから、去年〜今年初頭の冬なのかな? コロナが始まる前で本当に良かったねーって感じだよね。

最後の最後に総合評価。自分的にはかなりおすすめです。IMDbでも☆7.6とまずまずの高評価。クリスマス休暇にちょっと甘酸っぱいロマンスを体験したいなら見ても損はないはず。

まあ、自分は古本屋で本の表紙を指でなぞるのが好きなので、その描写があったこのドラマには若干甘くなってますけどね(笑) それでは〜

『ダッシュ&リリー』で、古本屋の本の表紙を指でなぞる
Dash & Lily [Credit: Netflix]