みんな大好き『あらいぐまラスカル』

日本でアライグマといえば「ラスカル」というくらい、『あらいぐまラスカル』は有名ですよね、Wikipediaによれば、「世界名作劇場」の第3作目アニメーションとして登場したようです。

ところで、この「ラスカル」と言う名前には英語的に面白い話があるので、今回シェアしたいと思います。もちろん、アニメでの名前「ラスカル」は『あらいぐまラスカル』の原作『はるかなるわがラスカル』から来てるのですが、実はあらいぐまに「ラスカル」と名前をつけるのはテンプレ・お約束なんですよ。

海外ドラマでの「アライグマ(raccoon)」

まず、海外ドラマでの「アライグマ(raccoon)」の扱われ方を見ていきますが、「アライグマ」が悪戯をするというシーンが頻繁に登場します。

『フレンズ』では、フィービーのマフィンを食べたのをアライグマのせいにするジョーイですし、

フィービー: I went to the bathroom. When I came back, my muffin was gone. Who took it?
ジョーイ: Somebody opened the door to the coffeehouse and a raccoon ran in and went straight for your muffin. I said: “Hey, don’t eat that! That’s Phoebe’s!”
『フレンズ』で、ジョーイはフィービーのマフィンを食べたのがアライグマと嘘を付く
Friends [Credit: NBC]

『モダン・ファミリー』でも、マニーの亀を殺したのをアライグマの仕業に偽装工作するジェイです。日本人的には分かりませんが、アライグマならやりかねないってことなんでしょう。

this mangy raccoon had busted through your screen. He must have scampered up to where Shel was.
『モダン・ファミリー』で、ジェイはマニーの亀を殺したのがアライグマの仕業に偽装工作
Modern Family [Credit: ABC]

『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』では、侵入者に気を怠るなというのに、アライグマと殺人者を並列して挙げる始末。

we have to be vigilant about keeping out intruders like raccoons or murderers.
『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』で、アライグマも殺人者も油断するなと述べる
A Series of Unfortunate Events [Credit: Netflix]

アライグマに、なにかイタズラ・悪いことするイメージが付いているのが分かりますね。

アライグマ(raccoon)のイラスト
Image by Danielle Papanikolaou from Pixabay

「Rascal」の意味

一方、英語の「rascal」の意味は、Wiktionaryでは次のようになってます:

rascal

不正直者、悪漢、悪党、詐欺師。

A dishonest person; a rogue, a scoundrel, a trickster.

はい、そうなんです。「rascal(ラスカル)」って実はネガティブな含みを持つ単語なんですよ。

だから、『メンタリスト』で、いろんな犯罪を犯している犯人を「rascal」と呼んでますし、

Robbery, narcotics, assault, manslaughter. Quite the rascal.
『メンタリスト』で、犯罪者をラスカル(rascal)呼ばわりする
The Mentalist [Credit: CBS]

『ルシファー』だと、どさくさに紛れてお目当てに品を盗んで来ると、「rascal」呼ばわりなんです。

ルシファー: You little rascal.
『ルシファー』で、どさくさに紛れてお目当てに品を盗んでくる
Lucifer [Credit: Fox]

ちなみに、形容詞形「rascally」も同じイメージですね:

rascally

いたずら好きの〈人〉; 悪漢の, ならず者の.
ウィズダム英和辞典

「あらいぐま」=「ラスカル」

ということで、

  • あらいぐま・・・いたずら・悪い事好き
  • ラスカル・・・悪漢、ならず者

であることから、「あらいぐま」は「ラスカル」と名付けられることが多いんですね。

実際、お約束を集めたサイトTV Tropesでは

Rascally Raccoon

多くのフィクションのアライグマは通常「ラスカル」として表される(この単語は非常によく使われるので、彼らのテンプレ名になっている)

most fictional raccoons are usually described as “rascals” (this word was used so often, it even became their Stock Animal Name!)

となってるくらい。犬といえば「ポチ」くらい、アライグマといえば「ラスカル」なんですね(笑)

コロナ禍に流行ったアライグマお爺ちゃん

最後に、人々のコロナ疲れを癒やしたアライグマのお爺ちゃんことRaccoon Whispererを紹介します。

自分はこの人のチャンネルを昨年末にリコメンドされて見たら面白くて、一気に全動画見てしまった。このおじいちゃんはカナダの大自然の中に住んでいて、5・6年前に妻に先立たれ、その妻がやっていたアライグマへの餌やりを妻の代わりにやり始め、動画にしてYouTubeに上げている人物。

ただ、その餌の量が半端ない。まじでホットドッグ5キロとか1回にあげている。だから、アライグマがみんなブクブク太ってる(笑) そして、この動画を通じて世界中のコロナで寂しい人々の心を癒やしているんだ。

以下の動画がバイラル化して1000万回再生された25匹のアライグマにタカられる囲まれるお爺ちゃん。

最後に

今回は、「あらいぐま」の名前が「ラスカル」になる理由を見てみました。そこには必然性があって、結局悪いことするやつというイメージが「あらいぐま」について回ってるんですけど、日本だとそのイメージはないようですね。だから私が海外ドラマでの「アライグマ(raccoon)」への度重なる言及に疑問を感じて、この記事となったわけでした。

それでは〜