元々「Snowflake」が英語で持つ意味について

snowflake(スノーフレーク)は「snow(雪)+flake(かけら)」から、日本語では雪片を意味します。フレークについては、コーンフレークを思い出せば、なんとなく理屈は分かるはず。

比喩的にユニークさを表して

ただ現実では、雪片を意味して使われることは雪の話題以外ではあまりなく、通常、比喩的に人がユニークであることを表すのに使われます。

つまり、雪のかけらの形というのは、冬空から落ちてくる間に結晶化しますが、温度、湿度や周りの環境の微差で大きく変わる、というわけです。二度と同じものはないんです。だから美しいのです。

雪の結晶、スノーフレイク
Image by Gerd Altmann from Pixabay

したがって、これを人に適用すれば、snowflakeな人はone of a kind、ユニーク なんですね。

TV Tropesでの説明

実際、テレビのお約束を集めたサイトでは、母親が子供に言うテンプレのセリフにこのsnowflakeが登場しています:

Special Snowflake Syndrome

僕たちの母さんは必ず僕らに言う、僕たちは特別な「雪片(snowflake)」なんだって、 各々が独自の美しさを持つんだ。

Our mothers always told us we were special snowflakes, each having our own unique beauty.

「コミ・カレ!!』でのsnowflake

他にも、シットコム『コミ・カレ!!』では、シャーリーがアベットのことを擁護して「彼はsnowflakeみたいにユニークなだけよ」とします。これなんかも、何も批判的な意味合いは全くありません。人と違うことはその人の個性と言うわけです。

シャーリー: Yeah, he’s just unique, like a snowflake who gets bent out of shape when you mix up Star Wars and space treks.
『コミ・カレ!!』で、シャーリーはアベッドのことを雪片(snowflake)に例える
Community [Credit: NBC]

ここまでが、英語「snowflake」の持つ意味とニュアンスの基本的な説明です。

スラング「Snowflake」の意味とは?

ただ、この記事では、正反対の意味のスラング「snowflake」を見ていきたいのです。通常、オヤジ世代が若者世代を批判するのに「このsnowflakeめ」というラベル貼りで使われることが多いのですが。

その意味とは、Wiktionaryによれば・・・

snowflake

  • (スラング、軽蔑的)自分が特にユニークで特別と信じる人。
  • (スラング、軽蔑的)侮辱や無礼に超敏感な人、特にPC感受性を持つ若者。
  • (slang, derogatory) Someone who believes they are particularly unique and special.
  • (slang, derogatory) Someone hypersensitive to insult or offense, especially a young person with politically correct sensibilities.

を指すんですね。ユニークさを意味するのは元々の比喩的使用と同じですが、自ら思っちゃっている痛さがこの裏には隠れているんです。それで、軽蔑的なんです。

そして、そこから派生して、PC(ポリコレ)なんかにのめり込む差別に敏感、傷つきやすい若者をバカにする表現という意味も派生しています。

もう一つ、Urban Dictionaryの説明も見てみると・・・

Snowflake

とても敏感な人。他人の意見や行動にすぐ傷つき気分を害す。

A very sensitive person. Someone who is easily hurt or offended by the statements or actions of others.

と、傷つきやすさがトップに来ています。

スラング「Snowflake」の語源とは?

また、語源に関しても

Snowflake

この用語は、本人はユニークで特別と思っているが実際はそうでない人に使われる。これは映画『ファイトクラブ』のセリフ「お前は特別じゃない、美しくも、ユニークな雪片でもない。お前は他のみんな同じ、崩れ行く有機物質なんだ」で人気を得た。

A term for someone that thinks they are unique and special, but really are not. It gained popularity after the movie “Fight Club” from the quote “You are not special. You’re not a beautiful and unique snowflake. You’re the same decaying organic matter as everything else."

と、映画『ファイトクラブ』由来と紹介がありました。この『ファイトクラブ』のセリフの意味合いは、小さい頃から母親に言われ続けてきた定番フレーズ「あなたはsnowflake」は嘘っぱちだという大胆な否定になっていますね(笑) そして、このセリフから派生して「傷つきやすさ」が出てきたんでしょうか。確かに、特別ちゃん達は自分の主張だけはしますけど、反論には弱そうな感じです。

だから、まとめると、snowflakeが人に使われる時は、2種類の正反対の意味があるのですね。

  • 母親なんかが子供に比喩で「あなたは特別な人(snowflake)」、ポジティブ
  • 自分を特別と思っちゃってる痛い若者に「snowflake」、ネガティブ

それにしても、日本でもこういうsnowflakeな人って結構居る気がします。自己愛性パーソナリティ障害って言うんでしたっけ? 他にも、自分の交遊範囲や視野・社会経験が狭いがため、自分は特別な存在と勘違いして浮かれてしまう等。でも世界を見渡せば、そんな人物は腐るほど居るという現実に気付かない井の中の蛙状態。そして、反論されたらシュンとなってしまい打たれ弱い。

海外ドラマでの「Snowflake」

なお、スラング「snowflake」は、ネット上でよく見かけて、海外ドラマではあまり出てきませんが、以下の『アメリカン・ホラー・ストーリー』に出てきていたので紹介。

場面は守旧派の老人候補者と新人候補者の討論会。女性は、選挙戦中に攻撃で使われた言葉を挙げていきます。hystericalshill、そしてsnowflakeです。良い意味で使っていないのは分かりますね。

I have been called a lot of things. Hysterical. Shrill. Snowflake. You can call me a snowflake if you want to
『アメリカン・ホラー・ストーリー』で、政治討論シーン
American Horror Story [Credit: 20th Television]

最後に

今回はスラング「snowflake」についてでした。ポジティブに比喩的に人のユニークさを表すのにも使われますが、ネガティブに 自分を特別だと思って勘違いして、すぐ傷ついちゃう痛い若者を指すこともあります。文脈を考えれば、どちらの意味かは判別つくかと思います。

ネット上の掲示板などでは、若者をsnowflakeと言っておけば批判しているように見えるので、よく使われるようです。その意味ではネットスラングなのかもね。

これを日本で例えれば、若者を意識高い系と言っておけば批判できるようなものでしょうか? 違うかな?(笑) それでは〜