宿題への恨み節は全世界共通

宿題といえば、子どもたちが最も嫌うものの一つとして有名ですよね。英語で言えば「homework」や「assignment」と呼ばれるもので、家に帰ってやらなければならない余計なもの。

ところで、Urban DictionaryのHomeworkの欄がめちゃくちゃ面白いので、本題に入る前にちょっと寄り道して見てみましょう。呪詛・卑語の嵐になってます(笑)

Homework

Stupid damn shit that was invented to ruin your day after school and fuck up your grade.

Homework

You go to school for fucking 6 1/2 hours, constantly taking it up the ass (figuratively) from dickhead students and fucktard teachers. Then you go home, which SHOULD be time that doesn’t involve learning shit you don’t care about. But no, these cunt-ass teachers will not accept only 6 1/2 hours of torturing you. They crave more. So they unload a huge amount of this ass discharge they call homework on you.

Homework

A sinister instrument of torture given by teacher. It was created purely for teachers’ entertainment.

という感じ(笑) これ以外にもたくさんのhomeworkの定義が載ってますので、汚い表現を学びたい場合は一読してみて下さい。一言で言えば「拷問」という感じかな。

英語の「Homework」が持つニュアンス

そんな「homework」ですけど、もちろん学校以外の文脈でも頻繁に登場します。特にビジネスシーンで。比喩的に課題というニュアンスですね。これは日本語の「宿題」でも同じです。

でも、最近気がついたのが、

ビジネスシーンでの日本語の「宿題」と英語の「Homework」って、意味合いが少し異なる

ってこと。それを説明するために、まず日本語の例から行きましょう。

営業さんが得意先へ行って新製品を売り込むとします。しかし、技術的な難しい質問が出てその場で答えられないとします(よくありますよね?)。そんなとき

持ち帰って宿題とさせて下さい。確認ができ次第、メールや電話で回答いたします。

としますよね。これは、打ち合わせ等で出た未解決問題に対して幅広く使われる表現だと思いますが、いかがでしょうか? 会社文化依存なところもあると思いますけど、この「宿題」に限っては、どんな会社でも使っているはず。

さて、その一方、英語のhomeworkですが、なんと「事前準備・下調べ」で使われるんです。この使い方は日本語にはないので、海外ドラマ見始めは多少混乱すると思います。

書類へ記入するビジネスマン
Image by Free-Photos from Pixabay

海外ドラマでの「Homework」の例

WHAT / IF 選択の連鎖

例えば次のシーンは、最近見始めたネトフリ『WHAT / IF 選択の連鎖』の一場面。医療関連スタートアップのCEOリサ(左)が、投資家アン(右)と投資について話すシーンです。アンが「時間がない」と言うと、リサは「(自分の事業の)要点を述べる(get right to it)」とします。しかし、リサは「homeworkをやったから、その必要はない」と返します。ここのhomeworkの意味は文脈から明らかですね。投資家なんだから、リサのスタートアップの技術や将来性などを下調べしたんです。そして、その下調べをhomeworkと言ってるんですね。これって日本語にはない使われ方ですよね。日本語の場合は、この打ち合わせ内で出た未解決問題が宿題とされるのが常なので。

リサ: Thank you for the meeting, Miss Montgomery. I’ll get right to it.
アン: No. No need for that. I’ve done my homework. You wouldn’t be here otherwise.
『WHAT / IF 選択の連鎖』で、リサとスタートアップの投資話をするアン
What/If [Credit: Netflix]

エミリー、パリへ行く

次のシーンは『エミリー、パリへ行く』から。フランスファッションの中心人物Pierre Cadaultについて同僚男性が話すと、エミリーはhomeworkはやったと述べます。つまり、事前に下調べしてきたんですね。

同僚男性: Emily, I’ve been dreaming of meeting Pierre Cadault since I was 12 and stole issues of French Vogue from my mum’s beauty salon. He’s a legend.
エミリー: Oh, I know, Julien. I did my homework.
『エミリー、パリへ行く』で、エミリーと同僚男性が話す
Emily in Paris [Credit: Netflix]

ベター・コール・ソウル

更にもう一つ、この意味のhomeworkが使われているシーンを見てみます。次は『ベター・コール・ソウル』から。こちらはビジネスと言っても、ドラッグビジネスだけどね(笑)

気弱なオタクがドラッグ売人で小銭を稼ごうとマイクを雇う回。このキャラは覚えている人も多いんじゃないかな。マイクのおかげでなんとかうまく行った後の車内での会話から。マイクが、犯罪者になるのなら「homework」をしろと忠告してますね。ここではもちろん、犯罪者になるための宿題・課題という意味ではなく、ちゃんとそれなりに下調べをしろってことです。

マイク: The lesson is, if you’re gonna be a criminal, do your homework
『ベター・コール・ソウル』で、マイクが車内で依頼者にアドバイス
Better Call Saul [Credit: AMC]

最後に

今回は日本語の「宿題」と英語の「Homework」の持つニュアンスの違いに焦点を当ててみました。打ち合わせ等のイベントがあるとして、その前にやるのが「Homework」で、その打ち合わせ出た解決すべき事項が「宿題」って感じですね。

ちなみに、誤解して欲しくないのは、日本でも得意先に行く前に「下調べ」はするんです。また、海外でも「打ち合わせで出る課題」はあるんです。ただ、呼び方が英語・日本語で異なっているというわけです。

宿題 or Homework、いずれにせよ、ビジネスシーンにおいても「無い」に越したことはありませんね(笑) Urban Dictionaryの定義を借りて日本語の「宿題」を定義すれば

宿題

顧客によって与えられる邪悪な責め具。純粋に顧客の娯楽のために作られた。

A sinister instrument of torture given by customer. It was created purely for customer’ entertainment.
海外ドラマの英語

ってところでしょうか。営業さんなら同意してくれるはず(笑) それでは〜