リックって結構哲学者

シーズン4に向けて『リック・アンド・モーティ』のおさらいをしてたんですけど、主人公のリックってマッド・サイエンティストと侮るなかれ、結構な名言・人生訓を残しているんですね。哲学的な人生観がところどころセリフに反映されているんです。

そこで今回は、自分が視聴時に気に入ったセリフをピックアップし、英語で鑑賞してみます(独自日本語訳も併記)。名(迷?)言はこれ以外にも当然あると思うので、ぜひご自身の目・耳でご確認下さい。

「リック」と「愛」ほど正反対な2つの単語はないかもしれません。実際、下記のセリフは「全ては化学反応」と科学者の典型的パターンですから。でも、忘れてならないのは、彼だって昔恋をして、愛娘ベスを可愛がったんです。誕生日に虹とユニコーンの道具箱をプレゼントしたほど。何が彼を変えてしまったのかは一部フラッシュバックで明らかになってますが、シーズン4以降で詳しく説明されるのかもしれませんね。

リック: Listen, Morty, I hate to break it to you, but what people call “love” is just a chemical reaction that compels animals to breed. It hits hard, Morty, then it slowly fades, leaving you stranded in a failing marriage. I did it. Your parents are gonna do it. Break the cycle, Morty. Rise above. Focus on science.

(聞くんだモーティ、こんな事告げたくないんだが 人々が言う”愛”なんてものは動物を生殖させるための化学反応にしか過ぎないんだ。 最初ガツンと来るんだが、その後ゆっくり薄れていき、破綻する結婚生活の中に人は囚われる。 わしもそうだったし、お前の両親もそうなるんだ。 この連鎖を壊すときなんだよ、モーティ。突破するんだ。科学に集中だ。)

リック: what people call “love” is just a chemical reaction that compels animals to breed.
『リック・アンド・モーティ』で、リックがモーティに「愛」の真実を語る
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

教育

「学校なんて時間の無駄」。天才科学者リックならではの意見ですね。これが一番最初のエピソードですから、『リック・アンド・モーティ』というアニメの方向性が垣間見える瞬間です。これは孫のモーティを連れ回すのを両親へ弁解しての発言ですが、後になって、実はモーティのアホさ加減を利用していたことが分かるので、本心かは定かではありませんけど(笑) ここのtwo centsは2セントしか価値がないと自分の意見をへりくだった言い方。なお、学校の教室シーンが後で出てきますが、そこには2+2が(笑)

リック: I’ll tell you some… tell you how… how I feel about school, Jerry. It’s a waste of time… A bunch of people running around, bumping into each other. G-guy up front says, “Two plus two.” The people in the back say, “Four.” Then the bell rings, and they give you a carton of milk and a piece of paper that says you can go take a dump or something. I mean, it’s… it’s not a place for smart people, Jerry. And I know that’s not a popular opinion, but it’s my two cents on the issue.

(わしが学校についてどう感じているか教えてやろう、ジェリー。 時間の無駄だ。ガキどもが走り回って互いにぶつかるんだ。 前にいる奴が「2+2は?」と言って、後ろにいる奴らが「4」と答える。 そしてチャイムが鳴って、牛乳パックと紙が渡され、うんこしてもいいとかなんとか書いてあるんだ。 つまり、賢い奴が行くところじゃないんだよ、ジェリー。 人気のないのは分かってるが、これがわしの愚見だ。)

『リック・アンド・モーティ』で、モーティが学校で授業中ジェシカのことを見つめる
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

ペット

リックにとっては「ペットを飼うことは即ち優越感を感じること」。バカ犬がカーペットの上でおしっこしても、その後始末は優越感を感じるための必要作業なのです。 しかしジェリーはリックのIf I were youの忠告を聞かず、飼い犬を賢くしてしまうのですが・・・(笑)

リックのシニカルな視点が興味深いセリフですけど、大天才のリックにしてみれば全ての存在は彼のペット以下のポジションなのかもしれません。

ジェリー: You wouldn’t by any chance have some sort of crazy science thing you could whip up that might help make this dog a little smarter, would you?

(科学の力でささっとこの犬をちょっとばかり賢くできないもんかね?)

リック: I thought the whole point of having a dog was to feel superior, Jerry. If I were you, I wouldn’t pull that thread.

(犬を飼う本質は優越感を感じるところにあると思うんだがね、ジェリー。 わしが君ならその道は行かないね。)

リック: If I were you, I wouldn’t pull that thread.
『リック・アンド・モーティ』で、ジェリーがリックに犬を賢くするよう頼む
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

危険を犯すことで初めて生を感じられるのはよくありますが、リックの求める危険は宇宙スケールなので、分子の塊で良しとするのもありかもしれませんね(笑)

リック: Listen to your sister, Morty. To live is to risk it all. Otherwise, you’re just an inert chunk of randomly assembled molecules drifting wherever the universe blows you.

(お姉ちゃんの言うことを聞くんだ、モーティ。 生きるってことは危険を犯すことなんだ。 そうでないと、お前は宇宙の意思で漂ってるデタラメに組み立てられた分子の不活性な塊に過ぎないんだ。)

リック: To live is to risk it all.
『リック・アンド・モーティ』で、リックがモーティを姉サマーの言うことを聞くよう説教
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

伝統

リックにかかれば伝統もまた馬鹿げたもの。それは科学の発展を阻害するからだけではありません。多元宇宙を経験している彼にしてみれば、ある宇宙の伝統(tradition)が別の宇宙では嫌悪の対象(abomination)になってるなんて、ありふれているのかもしれませんね。ここのリックはジェリーの言い方を真似して冷笑しています。これは英語でもよくあるパターン。

モーティ: Hey, Rick. I have to make a project for the science fair this weekend. You think you could help me out?

(ねえ、リック。週末科学フェアの展示物作らないといけないんだけど、手伝ってくれる?)

リック: Whatever.

(どうでもー。)

ジェリー: Well, I mean, traditionally… science fairs are a father-son thing.

(えっへん。伝統的には、科学フェアは父親ー息子のものなんだけど。)

リック: Well, scientifically, traditions are an idiot thing.

(えっへん。科学的には、伝統は馬鹿げたものなんだけど。)

リック: Well, scientifically, traditions are an idiot thing.
『リック・アンド・モーティ』で家族一家で食卓を囲み朝食を食べる
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

科学と奇術

リックにしてみれば、自分の科学を奇術と言われるほどの辱めはないかもしれませんね。使うのが脳みそとアイライナーほどの違いがあるんですから(笑)

リック: I don’t do magic, Morty, I do science. One takes brains, the other takes dark eye liner.

(わしは奇術はせんよ、モーティ。科学をするんだ。 一方は脳みそを使って、もう一方は濃いアイライナーを使うんじゃ。)

リック: One takes brains, the other takes dark eye liner.
『リック・アンド・モーティ』で、ガレージでキュウリになったリック
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

非難

人を非難するのは非常に簡単なので我々は即やりがち。しかし、モーティーはそれはするなと諭します。全ての生き物は生まれた時に決められたゲームのルールに従って生きているだけ。同じゲームをしているプレイヤー同士にしか過ぎない。嫌うならそのゲームとはリックならではの至言です。でも我々一般人には、そもそもゲームそのものが何なのかが分からないんですけどね(笑)

リック: Don’t hate the player, hate the game, son.

(選手を憎んではだめ、ゲームを憎むんじゃよ、少年。)

リック: Don’t hate the player, hate the game, son.
『リック・アンド・モーティ』で、宇宙船に乗ったリックがモーティにアドバイス
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

最後に

最後は意外にもモーティ(!)の名言でこの記事は〆たいと思います。

みんないずれ死ぬんだから、そんな英語勉強であくせくしないで、こっちに来て海外ドラマ見ようよ

モーティ: Nobody exists on purpose. Nobody belongs anywhere. Everybody’s gonna die. Come watch TV.

(誰も計画的には存在しないし、誰もどこにも属しもしない。 みんないずれは死ぬんだよ。 だからこっちに来て、テレビ見ようよ。)

モーティ: Come watch TV.
『リック・アンド・モーティ』で、リックがサマーに一緒にテレビを見るよう誘う
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

名言集第2弾↓


背景に注目してみました↓